新たなさまざまなものを与えた日 ページ3
あの謎の現象の後に、Aがこの世界では恐らく唯一の女性と言う性を持つ人間になっていた。
周りには妻に先立たれたり恋仲の女性に先立たれたりと、周りの男性たちは意気消沈したり自暴自棄になって殺し回ったりしている者もいた。
そんな中で、たった一人であろう女の子であるAを俺とヘンリーの二人で育てていた。
「A、この世界では男っぽい名前がカッコよく聞こえるんだ」
「ほんと!?じゃあ、おとこのこのなまえ、ほしい!」
Aはきらきらした目で俺に近付いて来る。
男として振る舞う為の名前はもう決めてあったのだ。
「ルーカス……ルーカス・ワイアット。カッコイイだろう?」
「うん!カッコイイ!わたし、ボーからもらったなまえ、つかう!」
「良かった……後は、人前では何も喋らない方が更にカッコよく聞こえるんだ」
「ほんと!?じゃあ、わたし、しゃべら………あっ!」
「どうしたんだい?」
彼女は少し困った顔で、俺を見詰めてくる。
口をもごもごとさせて、気まずそうにしていた。
「わたし、どうやってやりとりをすればいいの……?」
「大丈夫、その為に俺とヘンリーが君の傍にいるんだ。君の代わりになって周りの人に言葉を伝えてあげるんだ」
それを伝えると、彼女はぱあっと顔を輝かせて「それならあんしんだね!」と嬉しそうに言ってきた。
その様子に自分も表情が緩んできて、ヘルメットの下で笑む。
「でも、おそとにでても……ボーとおそろいのヘルメットをしなきゃだめなの?」
「ああ、ごめんね。今のその服にもしなきゃだめなんだ」
「わたし、このおようふくきにいっているからもんだいないよ!」
にこにこと微笑んでいる分厚い身体のラインを失くす程の衣装。一言も文句を言わずに、俺たちの言葉に従ってくれている。
少しいたたまれない気持ちになりながらも、ヘンリーが何かを持って帰って来た。
「よっ、ボーと可愛いA!元気か?」
「ヘンリー!もっているものって、なあに?」
「ドラムだ、結構綺麗なものがあったんだ。あんたにも良い物だと思ってな」
小さな綺麗な方のドラムが、彼女の手に渡っていく。
それを見て、きらきらと目を輝かせてばんばんとヘッド部分を叩いていた。
「これ、どうしたんだい?」
「ゴミ山の中から見付けた物だ。コイツが前々からボーのギターを物欲しそうな目で見ていたからなあ」
笑うヘンリーは未だに嬉しそうにばしばしとドラムを手の平で叩いている少女を見ていた。
自分もそれを見て、和やかな雰囲気を受け取った。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます!今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは!嬉しい限りです!またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします! (2020年9月20日 22時) (レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとうみさん | 作成日時:2020年4月24日 23時