綾辻行人の助手2 (ページ7)

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綾辻行人の助手、時々短編集。バレンタインデーページ7

綾「…おい、A」

あ「はい？」

朝、目覚まし代わりにシャワーを浴びて服を着た処で綾辻先生が私を呼んだ。
朝に呼ばれる事は珍しいので、何か有ったのかと心配する。

綾「明日は何日だ」

あ「…？明日、ですか…えーと…今日が二月十三日だから…十四日ですね」

綾「その日は何の日だ」

あ「…えーと…嗚呼、世間一般的に有名なチョコの日ですね」

そう云うと呆れ乍ら「バレンタインデーと云え」と指摘を受けた。
そう、明日は世間一般的に有名なバレンタインデー。
併し、私は特に好きな人間も親しい人間も居なかったために作ったことが無い。
私とは無関係の日だ、そう思っている。

あ「バレンタインデーが如何かしたんですか」

綾「此処まで云って判らんか？」

あ「嗚呼、問題出したかっただけですか？」

即「違う」と返答が来た。
少し気不味そうに顔を逸らす綾辻先生。
しかも少し赤面している。

辻「お早う御座います！」

あ「お早う御座います辻村さん」

綾「…お早う」

併し辻村さんが来ると直ぐに何時も通りの態度に戻った。
__何か云いたかったのだろうか。
そう思い、もう一回聞いてることにする。

あ「綾辻先生、バレンタ」

綾「もう良い」

あ「………って云うことが有ったんですけど、何か心当たり有りますか？」

少し綾辻先生の態度が可笑しかった為、今は辻村さんに相談に乗ってもらっている。
序でに聞いてもらっている時の辻村さんの表情は崩壊していた。

辻「そ、そそ、其れってチョコが欲しいってことじゃないですか！！！」

あ「…ん？何処からそんな推理が？」

辻「嗚呼！頭良いのに何で判らないんです！直ぐにチョコの材料買いに行きますよ！？」

そう云って私の腕を掴むと外に飛び出す辻村さん。
腕痛い、そして辻村さんが生き生きしてる。
そのまま車に押し込まれ、近くのスーパーに行った。

あ「…あの、仕事は？」

辻「そんな事よりチョコ！！」

あ「ええっ…」

仕事よりチョコなのかと思ってしまうのは私が世間に疎すぎるからか。
取り敢えず今回は自己判断ではなく、辻村さんに従うことにした。
スーパーは既にバレンタインデーモードで、出入り口の近くに飾りだのチョコだのがある。
其れを選んでる辻村さんを見て思った。
__女子力って怖い。

辻「嗚呼！此れも可愛い…嗚呼否…綾辻先生が欲しがってるのは貴方のチョコでしょう！？」

そして「選んで下さい！」とキラキラし乍ら云われた。
バレンタインデー前日は恐怖です。