34話 ページ2
「綾「犯人はこの中にいる」
礼拝堂に綾辻先生の声が響いた。
今は政府の依頼で林間学校中に起こった殺人事件を解決する処だ。
あ「先ず、この事件は小学校児童68人の中から一人を選択し、殺意を持って行われた殺人事件です」
私はこの未来を知ってる、推理するまでもなく犯人が誰だか判る。
だから、綾辻先生の助手は楽だ。
私の声を聞いた一人の先生が、私達に質問した。
「ですが探偵さん方。被害者の児童が毒殺だというのは警察の発表にもあった通りですが…毒針による一刺しが死因だと推定されていませんでしたか?」
綾「偽装だ、死の前…毒で苦しむ被害者を介抱するふりをして、用意していた針でさしたんだろう。症状が四肢麻痺や呼吸困難等であったことから神経作用系の毒であることは間違いではないが、それが経口感染か傷口感染かは専門家でも判別が困難だ。犯人はそれを利用し殺害手段を誤認させた」
綾辻先生は、自分の中にある調査報告書を読んでいた。
私は其れをただ見つめるだけだが、本当に彼は凄いと思う。
「ですが!食事に毒を盛られてたかは、警察も調べた筈です!併し食事は全員同じ鍋で調理した料理に、食器棚にひとまとめに保管されていた食器が使われていました。同じ食堂、調理室、料理人…なのに狙った生徒1人だけに毒を盛るなど、不可能ではないのですか?」
あ「不可能…ねぇ」
綾「無論可能だ」
其れを聞いて狼狽えている先生の代わりに隣の女性が言葉を継いだ。
私は何時も此所を「隠れたコンビネーション」だと思ってる。
__まぁ、如何でも良いが。
「では真逆…配膳が終わって、一人一人の食事が目の前に配られた食事の直前か、食事中に毒を盛ったということですの?」
あ「違いますよ…そんな生徒全員居る中で、被害者の目すら欺いて出来ると思います?」
「では一体どうやって…」
綾「ああ。…どうやって、か。そう来るだろうな、やはり」
綾辻先生はその声を聞いた瞬間そう呟いて溜息をし、沈黙した。
周りが「拙い事を云ってしまったのだろうか」という雰囲気になっている。
綾「まあいい、気にするな。君達に考える頭がないことは先刻承知だ。事件の関係者というものはどういう訳か、探偵が母親のように優しく事件の一つ一つを、まるでおむつの履き方を教えるみたいに優しく丁寧に教えてやることが当然の義務であると思っている。実に無邪気で微笑ましい」
私は其れを聞いてこう思った。
__全然微笑ましくない!
綾辻先生にされたら怖いだろ。
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みすゞ - すごくかっこいいです…。これからも応援してます! (2021年12月19日 23時) (レス) @page16 id: a79f0b541b (このIDを非表示/違反報告)
文ストは神 - 面白いです!更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年7月23日 17時) (レス) id: 83c4af30f1 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 頑張って下さい!応援しています! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
天野紗綾 - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年1月17日 23時) (レス) id: 17282353fe (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - 更新して欲しいです! (2017年11月29日 8時) (レス) id: 9a5180e9be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜木 華奈 | 作成日時:2017年1月9日 22時