ツン九割 ページ9
アレから数日。私は立派にポートマフィアの医療班として働いていた。クッソなんでこんな事になったんだ。森さんの補助っていう名目にまんまと引っかかった、クッソ!!
私だって一応断わりはしたんだ。ちゃんと断ったんだ。だけどあれよあれよと云う間に云いくるめられ、いつの間にやらそうなっていた。あの頃の自分をぶん殴りたい。何故OKしたんだ自分。莫迦??莫迦なのか???
いやでも異能をよく使うようになったお陰で大分MPは増えたし、悪いことだらけでは無い。だがしかし・・・
医務室の机に突っ伏しながら、あぁぁぁあ、と何度目かも判らないほど過去を悔いていると「ちょっと」と聞き慣れた、だけどいつもより少し高い声が聞こえた。
「奇声上げないでくれる?耳障りなんだけど」
『もう手当てしてやらんぞ』
十五歳太宰さん。この頃の太宰さんは随分トゲトゲしている。ツンデレのツン九割と云った所だろうか。まぁ此方に来てからデレの部分は見た事ないんだけど。
未来の太宰さんに慣れている方としては違和感のパラダイスだ。真逆これほどまで毒を吐かれるとは思わなかった。
然しまぁ、暇があれば私専用で使わせて貰っている医務室に来るということは、滅茶苦茶嫌われているって訳ではないのだろう。多分。
・・・・・・・・・多分。
現実は夢小説のようには上手くいかないのだよ諸君。見ろこの有様。こんな冷たくされたの人生で初めて。
「渚生、薬頂戴。何か楽に死ねるやつ」
『じゃあ低血圧と高血圧の薬適当な量あげるから、森さんにその分のお金貰っといてよ』
薬を異能で浮かして棚から取り出し、太宰さんの手まで移動させる。薬が太宰さんに触れると、薬は力を失ったように太宰さんの手の中に落ちた。
ここ数日だいたいこういうやり取りの繰り返しだ。最早テンプレと化している。太宰さんははぁい、と生返事をして部屋を出て行った。・・・貰ってきた前例がないのもまたテンプレだ。それでも渡す私もまた私なのだが。
この後の仕事は殆どない。ここ最近あんまり寝れてないし、仮眠取ろう。
そう思うが早いか、私は机に突っ伏してあっという間に夢の世界へと入り込んだ。
「・・・!、渚生!」
『・・・ん、?』
誰かに呼ばれて薄らと目を開ける。顔を上げると太宰さんが私の顔を覗き込んでいた。
目を擦り乍ら時計を見る。四時間は経っていた。
84人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Wolf @ 元フェアリー | 作者ホームページ:http
作成日時:2024年3月18日 17時