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血の暴政 ページ12

蘭堂さんは「恥を承知で申し上げると、」と前置きをしてから歯をガチガチと鳴らしながら云った。


「凍えて死にそうで御座います・・・」

「寒い?この季節にその格好でか?」


中也が不思議そうに云う。本人曰く、執務室に参上する以上、失礼のない服でなくてはとかなり薄着をしたらしい。薄着ってなんだろうね。蘭堂さんから見たらこの世の大半は薄着なんだろうな。冬とかどうしてるんだろう。寒さは今の比じゃないと思うんだけど。

身体不調でも神経系に問題がある訳でもないのにこれだけ寒がり。なんだっけなぁ・・・十五歳編でその理由が判るハズなんだけど、どうにも覚えていない。

まぁ、トリップしてからかなり経っている上に日常が濃いから他の内容も本当に薄らなんだけど。鏡花ちゃん歓迎会があるのは覚えてる。


蘭堂さんは「ではお言葉に甘え、失礼致します」と云い、異能を解いて部屋を出ていった。アレでも準幹部だからなぁ・・・人は見かけによらない。

中也に弁明している森さんを太宰さんが止める。


「森さん、そろそろ本題に入ったら?」

『話が色々と逸れ過ぎてるよ』


森さんは羽根ペンを額に当てながら、そうだねぇ、と呟く。然して真っ直ぐに中也を見ると云った。



「中也君。マフィア傘下に入る気はないかい?」




「あァ?」



一瞬、間があった。然し直後、恐ろしい程の殺気が肌を掠める。部屋の空気が冷たく、重くなる。中也の周りの地面が大きく陥没した。
森さんはこうなる事が判っていたように、なんの動揺も見せることなく「まぁ、そういう反応になるよね」と云う。


「しかし私の見たところ、君の追うものと私達の目的はある程度一致している。お互い提供できるものを確かめ合ってからでも、返答は遅くないと思うが」

「ハハッ、意外だぜ。マフィアの新首領は時間の無駄遣いが趣味とはな。マフィアに入れだ?お前達マフィアがこの街に何したか。忘れたとは云わせねぇぞ」



"血の暴政"

先代首領の暴走。横浜一帯を長く暴虐と恐怖に陥れた惨劇。
一つは、赤毛の少年がポートマフィアの車に落書きをしただけでその街の赤毛の少年、少女が皆殺しにされたという事件。
一つは、一つの集合住宅に敵対組織の幹部が隠れている可能性がたったほんの少しだけある、というだけで、その貯水槽に毒が投げ込まれ、住民が全員死亡した事件。

全て些細な出来事に先代が過剰に反応し、事が大きくなった事案だ。

私が殺した→←何気に無視が一番キツいよねって話



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作者名:Wolf @ 元フェアリー | 作者ホームページ:http  
作成日時:2024年3月18日 17時

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