【文スト】欠落感情【感プロ】 (ページ13)

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あの日から、実に二年が経った。僕は今十二歳。僕を助けてくれた人は織田作之助、と云うらしい。皆織田作やら作兄やら、呼び名は様々。僕は作兄派だ。

僕が今暮らしているフリィダムという飲食店には他に住人がいる。幸介、克巳、優、真嗣、咲楽。最年長は僕、■■だ。

「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃーい！」

「またねー！」

作兄はフリィダムに来て咖喱を食べ、僕達に会いに来る。作兄の顔を見ると心がほっとして、暖かくなるのは何故だろう。

今日も皆と一緒に作兄の帰りを待っていた。

＿＿＿＿筈だった。

扉が物凄い勢いで開いたかと思えば、知らない銃を持った男達が次々と入ってくる。幸介が「何だお前ら！」と顔を真っ青にして叫んだ。咲楽や真嗣が泣き叫ぶ。

男達は僕達の腕を引っ張ると無理やり外へ連れ出した。

『ちょっ･･･やめろよ！』

「黙れ！」

僕の腕を掴んでいた男に頭を殴られ、思考が鈍る。その隙に下まで引きずり降ろされ車に乗せられた。階下にある店が赤黒いもので汚れていたのが見え、それが気の所為であることを願うしか無かった。

皆が次々と車に乗せられていく中、僕は四角い箱のようなものを見つけた。コードが何本も飛び出ていて表面には赤い数字が表示されている。直感的に爆弾だ、と悟った。映画で見たことがあった。不味い。これが爆破したら皆死んじゃう。

皆が誰かを見つけたのか窓際に寄っていく中、僕は男を殴っていた。扉を塞ぐ此奴を早くどうにかして、皆と逃げないと＿＿＿。

男が一瞬怯んだ隙に僕は扉に手をかけて外へ飛び出した。振り返って、皆も早く、と云おうとした瞬間だった。

車の中が真っ白に光って、次の瞬間に僕の身体が吹き飛んでいた。

コンクリートに背中を打ち付けられて肺の空気が一気に外に押し出される。

視界が暗転する直後に見えたのは燃え盛る炎と、誰かの叫び声だった。

暫くして目が覚めると、炎は消えて居た。ぼんやりしていた頭を、遠くから聞こえてきたサイレンの音が覚醒させる。

ハッとして、車の中を見た。その中は言葉に出来ないほどに無惨で、僕は体の内側から逆流して来るものをうぇ"、と吐いてしまった。

その後、散々荒らされた部屋へと戻って作兄の帰りを待った。右顔が痛い。ヒリヒリする。いや、もう、全身が痛い。どうしよう。作兄が帰ってきて、なんて説明しよう。僕だけが生き残ってしまった。

嗚呼、本当にどうしよう。