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シェリーside






研究資料に目を通していた。


時計の針の音がやけにうるさく聞こえる。


研究員が帰宅した後の、一人のこの孤独が好きだった。


前までは。


静かな部屋に扉をノックする音が響く。


軽く、静かに続けて五回。


この叩き方をする者は一人しかいない。







ビショップだ。






返事をすれば扉が開く。


最近はよく彼女と雑談をして夜を更かすのだ。


いつもと違いビショップは何やら背後に隠しているようだった。






『なんだと思う?』


シ「?」


『じゃじゃーん』





嬉しそうに彼女が見せたのは、高級ブランドの赤ワインだった。


驚いて思わず資料を落とす。





シ「どうしたのよそれ」


『ジンから貰った。飲んでいいって』


シ「毒でもはいってるんじゃないでしょうね」


『大丈夫大丈夫、彼がそんな事するはずないわ。後でジンも飲むっていってたし』


シ「ベルモットが妬くわよ」


『彼女は今日ホテル泊まりよ』





組織内でジンとビショップが親しいのは噂に聞いていたが、まさかここまでとは。


若干呆れながらもワイングラスを用意する。


嬉しそうにコルクをあけるビショップを見れば、こちらも嬉しくなる。


せっかくの高いワインだ。


雰囲気を楽しむために部屋の電気を消す。


今日は満月だ。


天窓から差し込む月光が明るい。







『ではでは、乾杯』








ぶつかりあったグラスと、揺れる赤。


冷たい光に晒される深紅が何よりも美しい。


この時思った。


あの薬が出来たら、赤色にしようと。

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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時

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