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Aside





諸伏が死ぬべき場所に立つ。


冷たい夜風が肌を刺し、髪がなびいた。


目を閉じ、ビルの屋上にて月光を浴びる。


現場の後始末は済ませた。


後はただ一つ。






降谷にどう伝えるか、だ。






親友を亡くした彼はどこにいるのだろうか。


そんなのわかっている。


降谷は仕事だ。


仕事で悲しさを紛らわすに決まっている。


でも私が連絡をいれれば、








降「Aっ!」






ほら、飛んでくる。


私は階段をのぼりきりまだ息を切らす降谷に、不敵な笑みを浮かべた。


彼はといえば瞳に涙を浮かべ、驚いたような顔をしていた。






降「A……」


『来てくれてありがと』


降「そりゃ……ヒロに続いて飛び降りるなんて言われたから……でも、全然元気そうじゃないか」


『そうでも言わないと来てくれないと思って』







少し怒った声。


笑う私にさらに腹を立てたようだ。


口を開こうとする降谷の唇を指で塞ぐ。


そしてそっと彼の手にあるものを滑り込ませた。






『どうするかは君次第』






そう呟いて、そのまま降谷に背を向け階段へと向かう。


渡したのは、諸伏の携帯だった。


予め私が壊し諸伏のポケットに忍ばせ、ペイント弾のインクがべっとりとついた携帯。


降谷は呆然と立ち尽くし、はっと我に返る。






降「ちょ、なんでお前がヒロの携帯を……これをどうしろっていうんだよ」


『さぁ。血液検査でもしてみたら?』






ひらりと手を振れば、今度こそ怒りの罵声が聞こえてきた。


それを聞かぬふりをしてその場を立ち去る。


彼が生きている親友に気づくのはもう少し先。

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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時

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