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諸伏side






ぷはっと勢いよく海面に顔を出す。


急発進した船はみるみる遠くなっていった。


公安として密輸船を逃すのは悩ましいが、命を優先すれば最前の選択だっただろう。


投げた鞄もギリギリ陸に乗っかっている。


これで組織の任務も達成だ。


嬉しくなりビショップに声をかけようとすれば、彼女の姿がないことに気づく。






ス「おい、ビショップ?どこにいるA!」






慌ててそう叫べば、そう遠くないところから誰かが海面から顔を出した。


Aだ。


泳いで彼女の元へと向かう。


Aの濡れた髪が顔に張り付き、青白い表情をしているが目は輝いていた。






『ねぇヒロ見た!?私たちアクション映画の主人公みたいだった!』






そう叫び返してきた彼女に胸が高鳴る。


ああ、あの時のAだ。


警察学校時代の彼女だ。


純粋にはしゃぐ彼女は彼女自身なのだと思い知らされる。


本当だ、何一つ変わっていない。


イタズラをして笑いあったあの頃と。


危険な時にこそ彼女の笑顔は輝くのだ。






諸「ははっ」





思わず声を上げて笑う。


きょとんとした顔をしたAに飛びついた。


二人同時に海の中へと沈む。





俺が恋したたった一人の女性は





今も何も変わっていない。








ずぶ濡れになった服は重いが、


俺の心は嬉しさに舞い上がるほどに軽くなっていた。

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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時

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