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Aside






"好きだよ。心から"





その言葉を聞いた時から、私の何かが吹っ切れたような気がした。


もちろんいい意味で。


そんな私を前に戸惑いを見てせる諸伏。


車に乗り込みそんな彼の口に人差し指を当てる。


そして少しおどけて見せた。






『私は化け物ではないぞ諸伏くん』


諸「A……」


『あの頃と何一つ変わらない私だ』






警察学校時代、あなた達とふざけあった無邪気な私は今もここにいる。


少しだけ成長しただけだ。






『亡霊と契約を結んだ以外は何も変わらない』


諸「亡霊……?」


『そう、君を助けるための亡霊』





私は亡霊に魂を売った。


諸伏、君を助けるために。


ふふんと微笑む口元が緩んでいく。


全てを捨てたあの日の夜、私の前に現れた男は、


亡霊といえどまだ死んではいない人間だが、


私に提案を持ちかけてきた。







"ギブアンドテイク"だと。







諸「その亡霊って誰だA」


『そのうちわかるよ。亡霊という意味も』


諸「……?」





命と命の引き換えだ。


私はそっと運転席に座る諸伏の頭を撫でる。


松田と別れ泣いていた私はもういない。


今度は私が彼を救う番だ。







『亡霊と対峙した時、階段を登ってくる足音が聞こえたら死んだフリをしなさい。

それが君の助かる道だ』







誰かは私のことを"予言者"だと言った。


ならばそれらしく振る舞うのもいいかもしれない。


首を傾げる諸伏の心臓は確かにまだ動いている。


まだ。

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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時

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