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萩原side





松田の携帯にAから連絡があった。


天気予報あたり、の内容はさっぱり意味がわからなかった。


けれども明らかに松田のテンションが上がっている。


俺も上がっているけども。






伊「松田、まだ飲むのか?」


松「あたりめーだろ」






いつもの居酒屋で伊達と並んで、酒を喉に流し込む松田をぽけっと見る。


あれだけ落ち込んでたのに、今となれば水を得た魚だ。


いや酒を得た魚か。


上の空で空のジョッキをいじる。


ふと松田が手を止めた。







萩「……?」


松「……俺さ、待とうと思うんだ」


伊「?」







松「Aが帰ってくるの待つ。一生」






そう呟いた松田の顔はほんのりと赤かった。


酔っているのか、それとも。


親友のそんな表情に熱いものが込み上げる。


伊達もきっと同じなのだろう。






伊「きっと帰ってくるさ。生きてるのはわかったんだ」


萩「そーそー。ふらっと帰ってくるよ。案外俺たちの近くにいたりね」






冗談でそう言い、目を閉じる。


かつての想い人がサングラスをかけた親友の隣を笑って歩く姿を想像した。


悪くない。


そこに俺と伊達と、あいつら二人もいて。


そしたら完璧だ。


煙草を吸おうと思って、手が携帯に触れる。


居酒屋のうるさいので気づかなかったが、どうやらメールが届いているようだ。







画面を見て煙草が手から滑り落ちる。






ガタッと椅子を倒す勢いで立ち上がり、あたりを見回した。


いるはずのない姿を探す。


行き交う人々に見知った顔はない。






伊「萩どうした?」


萩「……いや、知り合いがいた気がして」





静かに座り直した俺は、


そっと携帯を握りしめた。









A "飲みすぎないようにね。誰かさんたちはお酒に弱いんだから"

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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時

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