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久部Side




「死神……?」


そう繰り返しつぶやくと、中堂さんがため息をついた。


「なるほどな」


「中堂さん何か知ってるんですか?」


ミコトさんの問に、彼は解剖を続けながら答える。




「噂は聞いたことがある。

あの若さで相当の実力と知識、そして桁はずれの洞察力。

警察が投げ出した事件も簡単に遺体から解決してしまう、

まさに死体を操る死神だな」




関心しているのか、興味がないのか。


ぶっきらぼうに答えた中堂さんの表情はよく見えなかった。




『中堂さん、これ見てください』


「………胃に小さいが穴が空いているな」


『ストレスによるものでしょうか』


「その可能性が高い」


『ならこの人はブラック企業につとめていたかもしれませんね。

相当痛かったはずなのに病院に行かなかった。

いや、行けなかった』





するすると糸を手繰り寄せるように推理していくAさん。


その姿に看取れている自分がいた。



「おい、カメラ」


「は、はい!」



慌ててカメラを片手に駆け寄る。


その時、僕は初めて気づいた。






彼女の顔色が少し悪いこと。


冷や汗をかいていること。


そして僅かに足が震えていることに。






思わずメスを握る彼女の手首を掴む。






『く、久部くん?』





その手首は細く、力をこめれば折れてしまいそうだった。


食事をきちんととっているようには思えない。





「おい」






中堂さんに声をかけられ、彼女の手首を掴んだままだということに気づく。


気まずい彼女の視線を感じる。





「す、すみません。体調が悪そうに見えたので………」









「具合が悪いのか?」


『いえ、元気です』








以外にもそう尋ねたのは中堂さんだった。


今までほとんど人の心配をしたことはなかったのに。








「ちょっと、中堂さんどうしちゃったの?」

「さー」

「これ、もしかするともしかするかもよ」





東海林さんの口元に不吉な笑みが浮かび上がる。


僕はもうひとつだけ気がかりなことがあった。








ミコトさんがどこか浮かない顔をしていたのだ。

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麻衣(プロフ) - 六郎落ちが良かったです! (2021年11月16日 7時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ラミンさん» 返信遅くなってしまってすみませんm(_ _)mコメント嬉しいです!一応中堂さんオチにする予定です (2018年12月16日 10時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
ラミン(プロフ) - 中堂オチがいいです・・・ (2018年12月8日 20時) (レス) id: a9e4616003 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月2日 10時

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