やり直せるのなら。7【名探偵コナン】

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松田side









悪い予感がしたのは、結婚式場でのこのとだった。


抱きしめた愛しい彼女の指に、ずっと用意して隠し持っていた指輪を滑り込ます。


それに気づいて顔を上げたAは、


今にも泣きそうな顔をしていた。







きゅう、と胸が歪な音を立てて締まる。







その顔は、その笑顔は、


幸せで泣きそうになっているのでは無い。


"自分が幸せになってもいいのか"


そんな自問が含まれていた。


誰もが幸せを願うだろう。


偉人も罪人も幸せを請う。


人間は幸せを手に入れるために生きている。









俺が、Aを幸せにするのだ。









そんな意味も込めて、再びAを強く抱きしめる。


必ず、必ず幸せにするから。


だから、









松「泣け。好きなだけ泣け。幸せの涙は枯れることはない」









例え悲しみでお前が泣く日が来ようとも、


それを幸せの涙に変えてみせるから。









松「……俺はどこにも行かないから、ずっとAを待っているから、迎えに行くから。


好きな所へ、行っておいで」









そっと送り出した愛しい彼女の背は小さかった。


この腕の中に収まってしまうほど小さいのだ。


なのに、抱えきれないほどの何かを背負っている。


俺の、萩原の、諸伏の、伊達の命を。


まだ知らぬ誰かの命を。


俺が望むことはただ一つ。









Aが無事に帰ってくること。









そんな願いは意図も容易く打ち破られた。








彼女はとうとう帰ってこなかった。









帰ってこないのならば、








迎えに行くまでだろう。

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