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新一side







『零、お墓参りに行きたいのだけど』







Aさんはそう言った。


まだ目覚めたばかりで自力で歩くことも出来ないのに、お墓参りに行きたいと。


降谷さんは少しだけ悲しそうに笑った。


彼女の体を車椅子に移し、


途中で花屋に寄り綺麗な花束を買い、


何故かサングラスと爪楊枝も買い、


夕暮れの道を五人で歩いた。


赤井さんが荷物を持って降谷さんが車椅子を押して。


俺と志保は後ろからついて行く。








志「Aさんって不思議な人ね」


新「初めて見るタイプの人だよ」


志「工藤くんは本当に彼女に会ったことないの?」


新「……眠っているAさんになら会ったことがあるよ」






彼女は穏やかに眠っていた。


目覚めた彼女はまるでひとつの人生を終えたように悟った顔をしている。






新「まだ若いのに後ろから見るとおばあさんみたいだな」


志「彼女は一生分の恋をしてしまったのよ」


新「恋?」


志「そう」


新「お前にそんなことがわかるのか?」


志「あら、叶わない恋なら経験したことがあるのよ。誰かさんと違って」







新「そうかよ……って、え?好きな人いたの?」








志「馬鹿ね。でも恋したから愛がわかるのよ」


新「愛と恋の違いって?」









志「求め続けるのが恋、与え続けるのが愛」








すとんと、胸に落ちた言葉だった。


きっとAさんはこれから先、与え続けるのだろう。


降谷さんに。


それは確かに愛だ。


恋人ではない、家族でもない、ただの友人でもない。


そして恋し続ける彼女が今後誰かを求めることも無い。









新「……今度、アイツらをAさんと合わせてみるか」


志「少年探偵団たちに?」


新「アイツらといると、なんかこう浄化されるだろ。大人のモヤモヤが」


志「いい案ね。……少しでもAさんが幸せになるといいのだけれど」









幸せってなんだろう。


Aさんが求める幸せって。

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あいか - どうしてくれるんですか〜!主様!私今、スマホの前でギャン泣きしてるんですよ!!最高過ぎます!!ほんと、神作品です! (2022年4月26日 21時) (レス) @page46 id: 899f48da7e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 私はこの作品が好きです!!とても感動しました!心に響く名言が沢山あって凄かったです!!これからも応援してます!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page46 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - メープルさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。コメントが励みになってました。これからも番外編よろしくお願いします (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - のうん。さん» 応援ありがとうございます!番外編もぼちぼち更新していきます。よろしくお願いします! (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - かるーあ・みるくさん» ありがとうございます!長い間お付き合いください感謝でいっぱいです (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2021年6月24日 20時

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