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Aside






目覚めた次の日、大人の姿に戻ったコナンくん、工藤新一が私の元を訪ねてきた。


隣には灰原哀こと宮野志保もいた。


シェリーに会うのは、誤解を招いたあの日以来だった。








『久しぶりね、コナンくん』








そう話しかければ、新一くんは酷く驚いた顔をした。





新「あなたとは初対面のはずですが……」


『私が目覚めてからはね』


新「?」


『それなりに仲良かったのよ、私たち』


新「???」







夢の中ではね。


それなりに仲良かったのよ、私も新一くんもシェリーも。






『そうよね、シェリー』


志「………初めまして、よね。私たちは」


『そうかしら』


志「………」


『私は会いたかったよ』


志「誰に?」


『あなたに』








志保ちゃんは困惑気味に新一くんに助けを求めるが、もちろん彼も混乱状態である。


知っているのは私だけ。


もうひとつの物語の展開を知っているのは私だけ。


まだ自力でベッドから起き上がることのできない私は、手招いて志保ちゃんを近くに呼び寄せた。






そして腕を広げ、彼女を思い切り抱きしめる。






力は入らなかった。


それでも彼女の温もりに触れることは出来た。


志保ちゃんの体は少しばかり強ばっていた。








『ごめんね、志保ちゃん』


志「……あなた、何か私に謝らなければならないようなことをしたの?」


『うん』


志「私にはさっぱりわからないわ」


『わからなくていいの』


志「……わからないけれど、あなたに抱きしめられると、懐かしい気持ちになる」








この世界に明美さんはいない。


いないけれど志保ちゃんがいる。


ちゃんと生きてる。









志「ねぇ、どうしてあなたを見るとお姉ちゃんを思い出すの?」


『……どうしてかしらね』


志「どうして……?」







ふるふると肩を震わせる彼女の背をそっとさする。


私は志保ちゃんの肩越しに、呆気にとられ呆然としている新一くんに視線をやる。


そしてもう片方の腕を広げる。








『新一くんもおいで』


新「は、えっ、俺は……」


『ほら』







しばらく悩んでいたが、やがて照れたように口を尖らせた彼はお決まりの文句を口にしながら近寄ってきた。




新「バーロー……」




ぽすっと彼の頭が私に体当たりする。


もう少しだけ抱きしめさせて。

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あいか - どうしてくれるんですか〜!主様!私今、スマホの前でギャン泣きしてるんですよ!!最高過ぎます!!ほんと、神作品です! (2022年4月26日 21時) (レス) @page46 id: 899f48da7e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 私はこの作品が好きです!!とても感動しました!心に響く名言が沢山あって凄かったです!!これからも応援してます!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page46 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - メープルさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。コメントが励みになってました。これからも番外編よろしくお願いします (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - のうん。さん» 応援ありがとうございます!番外編もぼちぼち更新していきます。よろしくお願いします! (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - かるーあ・みるくさん» ありがとうございます!長い間お付き合いください感謝でいっぱいです (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2021年6月24日 20時

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