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Aside









降「君は一年間、眠り続けていたんだ」







零は私が起き上がるのを助けながら、そう言った。


彼の頬には耐えることなく涙が溢れ続けている。


枕を立てにして背もたれを作ってくれた彼は、私の虚ろな瞳を覗き込む。








降「ずっと待ってたよ、A。おかえり」



『………』








降「君はジンに撃たれ、そのまま眠っていた。その間に色んなことが起きたんだ。その中には組織の壊滅も含まれている」


『……』


降「今は残党狩りに紛争する日々だ」


『………』


降「君は知らないだろうが、コナンくんという子供がいてね。その子が力を貸してくれたんだ。FBIともそれなりにいい協力関係を築けていて……」


『………』



降「高校生探偵、工藤新一くんも戻ってきたんだ。彼も君のことを心配していたよ。きっと目が覚めたのを知ったら飛んでくる。赤井も来るさ」







ぼんやりとした視界に、壁にかけられたカレンダーがうつる。


何日も何日も記されたバツの記号。


私が目覚めることのなかった証。


私が松田と一緒にいた日々の証。


零はずっと泣いていた。








降「ごめん、いきなりこんなこと言われてもわからないよね。Aはまだ一年前のあの日で記憶が止まってるんだから……」


『……』


降「すぐに泣き止むから、もう少しだけ待って」








零の手を掴む。


その手は微かに震えていた。


彼はずっと待っていた、一年もの間。


私がかえってくるときをずっと。









『……幸せの涙は枯れないんだよ』








だから零の涙が止まることも無い。


かれることも無い。


私がいる限り。









『おそくなってごめんね、零』








零「っ……」


『もうどこにもいかないよ』









ひとりじゃないよ。


私がいるよ、零。


まだひとりじゃない。


いつの日か、ひとりになるかもしれない。


それでも今はまだ。

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あいか - どうしてくれるんですか〜!主様!私今、スマホの前でギャン泣きしてるんですよ!!最高過ぎます!!ほんと、神作品です! (2022年4月26日 21時) (レス) @page46 id: 899f48da7e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 私はこの作品が好きです!!とても感動しました!心に響く名言が沢山あって凄かったです!!これからも応援してます!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page46 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - メープルさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。コメントが励みになってました。これからも番外編よろしくお願いします (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - のうん。さん» 応援ありがとうございます!番外編もぼちぼち更新していきます。よろしくお願いします! (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - かるーあ・みるくさん» ありがとうございます!長い間お付き合いください感謝でいっぱいです (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2021年6月24日 20時

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