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ジンside






偶然そばを通りかかったベルモットの声に、ぴたりと足を止める。


"ビショップの安否についてわかったら……"


それはつまり、あいつが危険な状態であること。


思わず愛銃に手を伸ばし、強引だが彼女の電話を遮る。








ジ「……俺の娘が、なんだって?」







ベルモットは冷や汗をかきながら必死に説明した。


あのA祐二という男に攫われたこと。


手がかりは傭兵であるコードネームしかわからないこと。


非は自分ではなくあの男にあるのだから、怒りの矛先を謝った方向に向けるのをやめろといいこと。


俺はちらりとベルモットが手にする携帯を盗み見た。







ジ「……通話相手はバーボンか」


ベ「ええ、そうよ」


ジ「一時間後……いや、三十分後にかけ直すと伝えろ。あとキャンティとコルンを呼べとウオッカに言え」


ベ「ちょっと、どこへ行くつもりよ」







帽子を被り直し、背を向けた俺にベルモットが叫ぶ。


振り返りもせず、低く呟いた。








ジ「まだ気づかないのか?


"シャーリーテンプル"は酒の名前だ」








あの男はわざわざこの黒の組織のアジトの周辺でビショップを攫う必要があった。


雇った男が組織の一員だから。


それはA祐二にとって都合がよいことしかない。


ビショップ誘拐のチャンスは決まった場所に帰っていく、


つまり目標の行動が予測できるアジトの周辺である事が必須条件だったはずだ。


もし組織の一員以外の者が騒ぎを起こせば、すぐに誰かが駆けつけるだろう。


要するにビショップを攫うことが出来たのは組織の一員であるはずなのだ。


それに気づかないとはバーボンもベルモットも相当焦っているということだろう。







ジ「……俺を敵にまわすとは、いい度胸じゃないか」







ホルスターに収められている愛銃を撫でる。


お前の出番はもうしばらく後だ。


必要な情報を吐かせたその後で。

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あいか - どうしてくれるんですか〜!主様!私今、スマホの前でギャン泣きしてるんですよ!!最高過ぎます!!ほんと、神作品です! (2022年4月26日 21時) (レス) @page46 id: 899f48da7e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 私はこの作品が好きです!!とても感動しました!心に響く名言が沢山あって凄かったです!!これからも応援してます!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page46 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - メープルさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。コメントが励みになってました。これからも番外編よろしくお願いします (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - のうん。さん» 応援ありがとうございます!番外編もぼちぼち更新していきます。よろしくお願いします! (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - かるーあ・みるくさん» ありがとうございます!長い間お付き合いください感謝でいっぱいです (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2021年6月24日 20時

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