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諸伏side
降「いや……待てよ」
不意に電話越しのゼロの声が鋭くなる。
ホテルの部屋でパソコンを弄っていた俺はその手を止めた。
何やらゴソゴソと雑音が聞こえる。
諸「ゼロ?」
降「ヒロ……A裕二のボディーガードである男はベルモットによって殺されたんだったな」
諸「うん。Aがそう言ってる」
降「ということは、A裕二の周りに優秀な警備員がいなくなったということだ。代わりはいるかもしれないが、彼ほどの業務をこなせる人物は限られる」
諸「つまりA誘拐への人員を派遣する余裕がない……Aを襲ったのは雇われた人物!」
降「そうだ。この現場はあまりにも後処理がお粗末すぎる。雨が振る訳でもないのに残しっぱなしの血痕、タイヤ痕。雇われたのは素人だ」
諸「裏サイトを調べてみる。もしかしたらその傭兵を募集した要項の痕跡が残っているかもしれない」
降「傭兵の特定と捕獲ができれば、更なる情報が期待できる」
諸「……絶対に吐かせてやる」
絞り出した声は震えていた。
喉がなる。
意図せず漏れ出た普段よりも数段と低い声に、背筋が震えた。
そうか、俺は怒っているんだ。
震えるほど怒っているんだ……。
刑事が暴力的な尋問が禁じられているというのなら、
公安である俺たちにしかできないことだろう。
いや、職業なんて関係ない。
Aを取り戻すためならなんだってする。
降「三十分程度でヒロのホテルに一度戻る。情報をあいつらに共有してやってくれ」
諸「了解。ゼロが戻ってくる間に調べておく」
降「頼んだぞ」
俺の弱点も、俺の強みも自分が一番よく理解している。
死んだことになっているから、裏方でしか活躍することが出来ない。
けれども俺にはFBIと公安の両方の情報網を使うことが出来る。
後で赤井さんには怒られるかもしれないが……。
非常事態なんだ、許してくれ。
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あいか - どうしてくれるんですか〜!主様!私今、スマホの前でギャン泣きしてるんですよ!!最高過ぎます!!ほんと、神作品です! (2022年4月26日 21時) (レス) @page46 id: 899f48da7e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 私はこの作品が好きです!!とても感動しました!心に響く名言が沢山あって凄かったです!!これからも応援してます!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page46 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - メープルさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。コメントが励みになってました。これからも番外編よろしくお願いします (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - のうん。さん» 応援ありがとうございます!番外編もぼちぼち更新していきます。よろしくお願いします! (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - かるーあ・みるくさん» ありがとうございます!長い間お付き合いください感謝でいっぱいです (2021年9月5日 22時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白ウサギ | 作成日時:2021年6月24日 20時