【ツイステ】人形使いのお話

罰、とは ページ30

どうやら彼の中で、言葉遣い、マナーを学び、それに反したことをする
＝「悪い子」という式が出来上がっているようだ。

そして、「悪い子」が受けるべき罰は彼が人生の大半を費やして耐え続けた
あの「家」での生活そのものと直結している。

ナイトレイブンカレッジに来てまだ２日ではあるが、ここで過ごした時間が彼にとって
価値観を変えるきっかけになったのだろう。

一度味わった幸せな時間があるからこそ、過去のあの生活に戻りたくないという気持ちが強まった。

結果、彼の思う「罰」を受けさせられるかもしれないと考えが浮上した瞬間、
パニック状態に陥ったのだろう。

……なんとも、哀れな少年である。


「わかりました。正直に話してくださってありがとうございます。
　…自分が悪いことをしたと、正直に言うことはなかなかできないものです。
　よくできましたね。」
「…本当ですか？僕は、「良い子」ですか？」
「…それはこれからの貴方次第です。
　……事情は分かりました。とはいえ、貴方が人に危害を加えたことは紛れもない事実です。
　貴方の言う体罰や食事抜きなどはしませんが、しばらく謹慎部屋に入って反省していただきます。」


ﾋｭｯと息をのむA。


「謹慎部屋というのは、窓が一つだけある何もないただの部屋です。
　しばらくそこで過ごしていただきますが、食事は持って行きますし、
　夜に限らず寝ても大丈夫です。ただ、他の生徒と交流ができない、という点が
　普通の学園生活とは違う点ですかね。」
「だ、だれも、僕を打ったりしませんか…？」
「はい、それは約束します。
　……なに、貴方は十分反省しています。ただ、謹慎部屋送りにした、という事実が欲しいだけですから。」
「…？どういうことですか？」
「他の生徒からしたら、あれだけの大けがを負わせたのに、教師陣は何も対応しなかったのか？という
　不満が出るでしょう。そうすれば、貴方は他の生徒からまた絡まれる可能性があります。
　「A・ストロンボリは教師たちから然るべき罰を与えられ、反省した」という
　免罪符を作らなければいけないんですよ。」

ナイトレイブンカレッジ生にあるまじき素直さ→←告白

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す