序章21 ページ22
「……」
「……」
「……」
「…あの、セベクさん?」
「なんだ?」
ディアソムニア寮への道中、なんとも気まずい沈黙が流れました。
どうにも居心地が悪く、話題が見つからないままにセベクさんに声をかけてみました。
「えーと……セベクさんは、マレウスさんとの付き合いは長いのですか?」
「若様との“付き合い”だと!?」
カッと目を見開いて声を荒げるセベクさん。
あちゃー…どうやら地雷を踏んでしまったようです…
「そんな軽々しいものではない!僕は幼い時分よりずっと若様に仕えて……」
そこからセベクさんは、マレウスさんとの思い出話や、マレウスさんがいかに素晴らしい方かという話をノンストップで話し始めました。
よほどマレウスさんを敬愛していらっしゃるのでしょうね。
目を輝かせて、本当に楽しそうに語るセベクさんは、まるで子供が大好きなおもちゃを自慢しているように見えて微笑ましいです。
相槌を打つ間も与えない勢いで話し続け、あっという間にディアソムニア寮についていました。
「——そこで若様はだな…」
「あ、と…お話し中すみませんセベクさん…」
「む、なんだ?」
「…着きましたよ。」
「む?!」
しまった…話しながら歩いてきてしまったから、セベクさん、道順をちゃんと見ていなかったのでは…?
次に寮に戻るときにまた迷子にならないといいんですけれど…
「おお!いつの間に…!」
茨の魔女の城をイメージして造られたというディアソムニア寮。
日照時間が短いので、朝も昼も少し薄暗いそうです。
寮の周りには茨の蔦が蔓延り、高尚な魔女の尊厳を象徴しているかのようです。
…何度来てもここはピリッとした空気が感じられて緊張してしまいます…。
「——なんじゃ?誰ぞ入ってきたと思えばAにセベクではないか。」
そんな空気は微塵も感じられないリリアさんがどこからともなく現れました。
あぁ、見知った顔が確認できるとホッとします…
「先程ぶりです、リリアさん。」
「リリア様!セベク・ジグボルト、只今いて参じました!」
「おぉ、セベク。おぬしどこへ行っておったのじゃ?」
「それが…その……」
迷子になった、とは言いづらいですよね…
「すみません、私がマレウスさんに会いたいといって、取次をお願いしたんです。」
「なんじゃ、そんなことせんでもいつも通り顔を出せばよかろう?」
「あはは……」
横でセベクさんが微妙な顔をしていましたが…まぁ、面子は守れたのではないかと……
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リゼ - 白樺葵さん» 学園内の身長のトップはツノ太郎では、、、 (2022年6月23日 14時) (レス) @page32 id: bd60c7e03e (このIDを非表示/違反報告)
白樺葵(プロフ) - 星猫さん» >星猫さん こんにちわ!知っているレベルで言えば「僕のヒーローアカデミア」「BEASTARS」「怪物事変」「文豪ストレイドッグス」…と、このあたりでしょうか?総じて異能力バトルや、妖怪が出てくるお話が好きです(^^) (2021年3月4日 17時) (レス) id: 62e8178f4a (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月4日 17時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白樺葵 | 作成日時:2020年11月9日 22時