続・マイ探偵 (ページ10)

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五十話ページ10

それから、なんとなしに京とその妹は、母親を殺した父親と３年の時を過ごすことになった。

京は、母親を殺した父親のことが憎らしく思うことは出来なかった。

妹もだが、自分のことも世話してくれる人が、母親を殺しただけで仕返しに殺さなくてはいけないだとか、そんな思考には至らなかった。

まだ幼いとはいえ、仇討ちのようなものは頭に浮かんでなどいなかった。

そして、京の誕生日が着実と近付いてきた12月のある日。

妹を送迎して帰ってきた大地が京に話しかけた。

「なあ、京…一緒にドライブに行かないか？」

その質問をする際に浮かべた表情は、子供思いの父親のそれだった。

「うん、良いよ」

妹のことは良いのだろうかと若干考えつつも、父親がああ言っているのだから大丈夫なのだろう、と考え、肯定した。

「よし、じゃあ早速出掛けるぞ」

大地は、用意は既に済んでいるとでも言わんばかりに、自分と京の上着だけを手に取って玄関にすたすたと歩いて行く。

京は一呼吸遅れ、慌てて上着を着ながら大地に着いて行く。

「じゃ、行くぞ」

京が車に乗り込んだ頃には、大地は準備万端のようだった。

エンジンがかかる音。

レバーがドライブの位置に動かされる音。

動き出す振動。

流れる景色。

車は、雪のうっすらと積もった山へと向かって行く。

そこで、起こるべくして起こる事故が起こる。

まあ、ここまで読んで下さっている貴方には、もう分かっていることだろう。

この昔話は、京がついこの間話した昔話に繋がって行く。

が、この間に一つ、もう一つの事故が………いや、事件が起こる。