五十二話 ページ12
「……で、その後…」
不吉そうな笑顔を崩さずに続きを話そうとした犯人を、僕もういいです、の一言で制止した。
その言葉で、犯人はここから先を話す必要性はないと理解し、案外すんなりと口をつぐんだ。
「ここから先は覚えてる…いや、思い出しているの方がいいかい？」
「いえ、前者で合ってます」
へらへら笑ったままの犯人は、話をしている間、一度も視線を向けなかった神崎さんを向く。
「どうしたの、神崎さん？」
「……いや、なんだか…知っているような気がして」
知っている？
僕は頭にクエスチョンマークが浮かんだが、犯人はそこでニヤリと笑った。
「思い出す……………あっ」
閃いたような表情を浮かべる神崎さんに、僕と犯人はそれぞれに反応した。
「僕の初仕事じゃん、それ」
かなり呆気なく言われたので僕は反応が遅れ、犯人は直ぐに口角を上げた。
「くくく、関係者だったのかぁ、神崎さん。じゃあ、こうして合間見えたのも、偶然なんかじゃなかったのかもねぇ……そう、運命って言うの？」
「はは、君に言われるとえも言われぬ気分になるなぁ」
「くくくっ、包み隠さず気持ち悪いと言えば良いのに」
どうやら自分が不気味なことは自覚しているようだった。
「閑話休題。じゃあ京君は……」
脱線した話をまるで自分が仕切るかのように質問をしようとする。
それが僕はなんとなく嫌だったが、質問は僕に向けられていた為、素直に聞くしかなかった。
「鶴霜惺と親戚なのは知っているのかい？」
京君&妹ちゃんと惺君はね、従兄弟にあたるんだよ。
不吉な犯人はそう言って、今までと同じように気持ち悪く笑った。
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