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二十八話 ページ34

裁判所に着いたところで妹と別れた。

妹が囮として、裁判中の部屋の入口を担当する、暇そうな警備員を引き寄せる。

警備員が一足遅れて妹を追いかけたところを僕が入口に勢いよく入る。

振り向き様、警備員のしまった、といったような顔が印象的だった。

その重いドアを閉める寸前に、妹の声が聞こえた。

「絶対に、成功させなよー!」

ああ。

分かってるとも。

必ずや成功させてみせるからな。

既に妹の姿は視界になかった。

短い溜め息を吐き、正面を向く。

すると様々な大人の視線が、僕を探るように、僕を刺すように向けられる。

まだある程度若い裁判長がこちらを一瞥する。

そんな裁判長に一礼をし、安堵の色を見せる神崎さんに資料を掲げてみせる。

「……全く。君が来るまでこの場を持たせるの、大変だったんだよ?」

「…ごめんなさい。そして、ありがとうございます」

「…別に。いいってことよ?」

後はもう、僕の出る幕はないね。

そう言うような顔で、笑顔で僕に手を挙げた。

「じゃ、バトンターッチ」

笑顔な神崎さんと、すれ違いざまにハイタッチをした。

その神崎さんの手は、少し手汗で濡れていて、大きくて暖かかった。

さてさて、せいにぃを助けようか。

せいにぃの隣に立つ。

相変わらず、せいにぃは笑顔だった。

でも、今日ばかりは少しひきつっていた。


間髪入れずに話を読みたい方へ。

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こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - いっつんさん» ありがとうございます!会話はかなり力を入れているので、そう言ってもらえると嬉しいです!これからも頑張らせていただきます! (2020年8月23日 16時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
いっつん(プロフ) - 小説拝見しました! ミステリー小説は犯人の動機やトリックを考えなければならないので大変ですよね……。ちょっと生意気な妹ちゃんと兄くんのやり取りが可愛くて好きです! これからも執筆頑張ってください! (2020年8月23日 15時) (レス) id: 9672a7ee0b (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - あきさん» あーね…読者観点と作者観点ってやっぱかなり違いがあるんだねぇ………(( (2020年7月23日 18時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - えっとね、せいにぃは好青年感するなぁ。神崎さんは好きよ。京は少しナルシストっぽいところが感じられるんだけどそこ好き。妹ちゃんツンデレだよね、遅くなってごめんよー。 (2020年7月23日 18時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!まあ、これからまだ先があるので何とも言えなかったのでしょうが…(笑) (2020年6月28日 20時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こきあ x他1人 | 作者ホームページ:無い。  
作成日時:2019年12月15日 13時

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