マイ探偵

二十一話 ページ26

「な、何で隠してたのさ！」

「し、知らない人は警戒しなきゃなんないし、本名と言う名の個人情報の塊を初対面しかも初めから馴れ馴れしい人には偽名を使うに決まってるでしょ…第一、怪しい人に本名ばらす奴が何処にいるの？」

大人顔負けの説明の素晴らしさに一瞬みとれてしまったが、俺も一応年上だ。

年上なりの風格もしくは威厳で…！

「ふ、普通は偽名なんて考えないだろ…！」

意外と奥手に出たような？

「へえ…一般教育だとばかり…」

おい、それはどこの学校だ。

「小学生が習うことじゃないって」

家庭が本当に心配になった。

大…京君はどんな教育を受けてるんだろ…

そんなことを聞けるほど俺は肝が据わってないんだよね。

と言うことで話をそらし。

「退院日聞いた？」

「うん！」

「おめでとう！」

「ありがとっ！」

今日、今の今までで最高の笑みを見せてくれた。

京君の退院日。

それは、刻一刻と迫っていた。

明日だ。

くっ…それにしても何でこんなにも可愛いんだよ…

お、俺の母性本能が…

……まあ、こんな茶番(一人茶番)はここらで幕を閉じて。

「俺、さっき急に言われたからさ、千羽鶴を作ってきちゃったよ」

「たとえ明日が退院日だとしても、せいにぃが心を込めて作ってくれたんだ。嬉しいよ！」

「！！……あ、りがと。そう言ってくれて嬉しいよ」

「感謝をするのはこっちの方だよ！せいにぃ、ありがとぉっ！」

俺は京君に腕を引っ張られ、ぎゅっと抱き締められた。

はっきり言っておくけど、天使だ。

京君は感情を素直に出すから…。

………可愛いなぁ、もう。

暫く、京君の温もりを間近で感じることになった。

京君は、暖かい。

とても、暖かい。

本当に、暖かい。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
昔の京君って凄く感情を表に出してるんだよね。

え、今の京君は？

殆ど無表情って言うか…あんまり笑ったり驚いたりしなくなった。

妹やせいにぃなどの信頼できるような人には感情が出せるけど……

心中ではかなりリアクションとってる

せいにぃの心の声は私がふざけてます！

二十二話→←二十話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す