十八話 ページ23
「お父さんまだー?」
「あと3分で着くから待ってろ」
「はいはい」
今日はお父さんと一緒にドライブだった。
しかも12月のこんな真冬日に…。
今は帰り道。
車に長時間揺られ、大きな欠伸をした時だった。
「ありぇ?」
男…の子、が倒れてるぅ?
それに…ち、血だらけ…………ヤバくね?
え、ヤバくね?
赤に変わっていた信号機が青に切り替わる。
俺ははっとして、お父さんに向かって大声を出す。
「お、お父さん!今すぐ車停めて!男の子が、死にかけの男の子が!道に倒れてる!」
その言葉にお父さんの顔から血の気が引いた。
「はあ?!あっ、じゃあ、コンビニに一旦車停めてから…」
はあ?!
「何言ってんの?!死んじゃうよ?!早くして!」
「うるさいなあ!すぐに着くからまってろ!」
「_____ああもう!それじゃあ遅いんだよっ!」
そう言い、走行中の車から降りる。
「あぁ?!このっ、戻ってこーい!惺ーっ!」
そんなお父さんの声を無視し、男の子の元へ駆け寄る。
「君!大丈夫?!……って、気絶してるか…」
そう言えば、ここの近くに病院があったよな…。
考えるよりも先に体が動くと言うのは…どうやら本当らしい。
俺は男の子をおんぶし、病院に向かって走り出していた。
「はあ、はあ、もう、ちょっとだ…」
病院の駐車場を走り、玄関に急いだ。
自動ドアが開く時間すら惜しかった。
自動ドアが完全に開くよりも先に病院の中に入る。
そして、思いきり息を吸い込んで、叫んだ。
「すみません!死にかけの男の子がいるんです!___助けてくださいっ!!」
すると、受付にいたナースや、エレベーターから降りてきた医者が寄ってくる。
医者は
「その子は貴方の弟ですか?」
と問う。
「ち、違います。道端に、倒れてて…」
俺はうろたえながらも答える。
「道端に……。まあ、分かりました。ここまで連れてきてくれてありがとうございます。後は私達にお任せを」
「は、はい。ありがとうございます!」
俺は深々と頭を下げた。
医者と男の子がが見えなくなっても、ナースから話を聞いているときも、お父さんが来たときも、ずっと心臓は激しく鼓動していた。
ただ、あの男の子が心配で心配でたまらなかった。
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こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - いっつんさん» ありがとうございます!会話はかなり力を入れているので、そう言ってもらえると嬉しいです!これからも頑張らせていただきます! (2020年8月23日 16時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
いっつん(プロフ) - 小説拝見しました! ミステリー小説は犯人の動機やトリックを考えなければならないので大変ですよね……。ちょっと生意気な妹ちゃんと兄くんのやり取りが可愛くて好きです! これからも執筆頑張ってください! (2020年8月23日 15時) (レス) id: 9672a7ee0b (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - あきさん» あーね…読者観点と作者観点ってやっぱかなり違いがあるんだねぇ………(( (2020年7月23日 18時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - えっとね、せいにぃは好青年感するなぁ。神崎さんは好きよ。京は少しナルシストっぽいところが感じられるんだけどそこ好き。妹ちゃんツンデレだよね、遅くなってごめんよー。 (2020年7月23日 18時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!まあ、これからまだ先があるので何とも言えなかったのでしょうが…(笑) (2020年6月28日 20時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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