十二話 ページ17
「妹、僕ってどのくらいで退院できる?」
「私は説明を一つも聞いていないから知らない。でも、兄の傷を見たけど、血がだらだら出ててかなり酷かった」
「うーん…一ヶ月くらいかな?」
「え、そんなに?」
「あ、やっぱ長すぎるかな?」
「だから知らないって」
「一ヶ月だと、夏休み余裕で超すじゃん」
「夏休みはあと半分も無いよ」
「三学期始まっちゃう」
「いいんじゃない?ずる休みじゃあるまいし」
「義務教育中のお子様は気楽でいいな」
「む」
「授業で追い付けなくなって成績が下がったり、出席日数が足りなくなったりすると退学になっちまうんだよ。分かる?」
「大変なんだね。それだけは分かったよ。この際退学もありじゃない?」
「何言ってるのこの子。この際って…」
うーん…よし。
寝よう。
眠い。
おやすみ。
「………ぃ…ぉ−ぃ…おーい」
「むにゅぅ…?」
「おはよう」
目を覚ましたら、目の前にいたのは神崎さんだった。
凄く機嫌が良さそうだ。
声が弾んでいる。
「か、神崎さん?!」
「退院したら早速仕事宜しくな」
何言ってるのこの人。
学校って単語知ってるのかな?
「一応言っときますけど、僕は現役男子高校生ですよ?名門では無いけど偏差値は低くは無いんですからね?」
「知ってる。偏差値は関係無い」
「無理に決まってるじゃないですか…」
「あー大丈夫大丈夫。先生には話通してあるから」
「どんな…?」
「学校より仕事を優先してもらうこと」
「はぃ?」
「大丈夫。仕事でどれだけ学校を休んでも退学なんてことはないから」
「あー…よかったぁ…」
全身が一気に脱力した。
とても頑張って入った高校だから、退学なんてしたくなかった。
神崎さんが高校を中退させたなんて言い出さないで本当に安心した。
「いやあ、治美さんがまさか犯人だったとは!」
「いや、僕が話してる途中で絶対気付いてましたよね?」
「そりゃねえ?君より歴は長いんだから」
「何年くらいですか?」
「12年」
予想の上をいく探偵歴。
え?
長くね?
この人そんな探偵やってんの?
…え?
「今度、新人の頃の話をしてやるよ。僕はこれから仕事があるんだ。じゃあ」
「あ、はい。頑張ってください。」
神崎さんは、僕に向かって微笑み、病室をあとにした。
「ふぁ〜〜あふ」
ねっむ…ベッドの寝心地良すぎだろこれ。
いくらでも寝てられる。
最高。
今日1日で、どれだけ寝ることになるだろう。
あー…もう、無理。
おやすみ。
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こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - いっつんさん» ありがとうございます!会話はかなり力を入れているので、そう言ってもらえると嬉しいです!これからも頑張らせていただきます! (2020年8月23日 16時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
いっつん(プロフ) - 小説拝見しました! ミステリー小説は犯人の動機やトリックを考えなければならないので大変ですよね……。ちょっと生意気な妹ちゃんと兄くんのやり取りが可愛くて好きです! これからも執筆頑張ってください! (2020年8月23日 15時) (レス) id: 9672a7ee0b (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - あきさん» あーね…読者観点と作者観点ってやっぱかなり違いがあるんだねぇ………(( (2020年7月23日 18時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - えっとね、せいにぃは好青年感するなぁ。神崎さんは好きよ。京は少しナルシストっぽいところが感じられるんだけどそこ好き。妹ちゃんツンデレだよね、遅くなってごめんよー。 (2020年7月23日 18時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!まあ、これからまだ先があるので何とも言えなかったのでしょうが…(笑) (2020年6月28日 20時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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