番外篇 「fatal bonds」 1 ページ47
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『……桂さんは晋助さんと幼馴染みなんですよね?』
『そうとも言うが、腐れ縁とも言うな』
ふん、と鼻先であしらう彼、桂小太郎はまだほんのりと湯気の立つコーヒーをすすった。そんな姿をAは小さく笑いながら見つめ、膝の上に乗る銀時を撫でる。
銀時はだらしなく大きなあくびをし、撫でてくれと言わんばかりに真っ白な腹を見せつけた。それを見た桂の手持ち無沙汰な手は、恨めしそうに握ったり開いたりを繰り返す。
『なら、晋助さんの苦手なものとか分かりますか?』
『高杉の苦手なもの?』
『はい。ちょっと、気になったもので……』
ニッコリと微笑んだ彼女からは信じられない悪戯心。それに桂は少々面食らったような顔をするも、次にはもう高杉の苦手な物を腕を組んで眉を険しくひそめながら考えていた。
だが中々すぐには思いつかず、冷めたコーヒーをAは淹れ直し、銀時も桂からお土産にと貰ったネズミの玩具で一人で遊び出す。部屋にある振り子時計の長針が丁度12を指して針が「カチリ」と、大きな音を立てたのと同時に桂は手を叩いた。
『高杉はAさんに弱いのではないか?』
『私?』
『あぁ。俺が何かと高杉を飲みに誘ったり、んまい棒の試食をさせようとするが、いつもAさんが家で待っている、と断られるのだ』
それは体良く自分の名前を使って逃れているだけなのではないか、と彼女は思ってしまうも、自分の居ないところで高杉に名前を呼ばれることに心地良さを感じている。同時にくすぐったさも感じ、堪え切れなくなったAは小さく笑った。
『だから俺はAさんに、んまい棒の新作の試食を頼みにここへ来た!』
「見てくれ」とテーブルに広げられたんまい棒。それを一つ渡され、食べてみろと急かす目を向けられた彼女はおずおずと封を開けて一口かじる。だが味が薄く、なんだこれはとパッケージを見た彼女は酷く驚嘆した。
『きゃ……キャットフード味……』
だからか、銀時が彼女から漂うキャットフードの匂いを嗅ぎつけて近寄ってくる。しかも桂はそのんまい棒は猫用だと言い始め、途端にAは顔をしかめた。
食べていいと分かった銀時は彼女の手にあるんまい棒にかじり付き、美味しそうに食べている。銀時が美味しそうに食べているからまあいいか、と苦笑を浮かべた彼女だが、不意に顔を上げるとそこには見知った顔が桂の背後に立っていた。
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ハル(6/17)(プロフ) - ?京華月 桜?さん» こちらこそこんなに嬉しいコメントいただいちゃってどうしてくれるんですか〜笑 ありがとうございます!! キュンキュンしてくださることがとっても嬉しいです! コメントと閲覧をどうもありがとうございます( ´ ∀`) (2018年4月4日 23時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - 銀皐月さん» 久しぶり!!!さっつん!!! 受験はもう終わってるかな? 頑張ってた時期に応援の声をかけられなくて無念( ; ; ) 時間あったらまたお話ししよ! スマホ買ったら教えてね!!! (2018年4月4日 23時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
?京華月 桜?(プロフ) - ハァァー//////もうやばいよほんとに…!読むたびにキュンとしてもうずっと発狂してます!どうしてくれるんですか、カッコ良すぎだよ晋助様!!面白すぎるって言うか最高すぎますよ!ハルさん!!! (2018年3月31日 13時) (レス) id: 8b9ff51846 (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - お久しぶり、ハルー!会いたかったァァァ!時間ズレた!泣
来るって聞いてたら、携帯の前でせっせとおめかししたのに〜笑笑
元気かな…、とか思いながら、早……何ヶ月たった?笑笑
私は魔王、お受験様に追われる身となったよ笑 高杉には猫のおやつを進めます笑 (2018年2月13日 21時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
ハル@六月に一時帰還予定(プロフ) - 紫蘭さん» こちらこそ閲覧とコメントとリクエストをありがとうございます! 2017年はお世話になりました。2018年も、よろしくお願いします! たまに他の作品に顔を覗かせたりすると思いますので、またお会いできたら嬉しいです( ´ ∀`) ありがとうございました。 (2018年2月13日 19時) (レス) id: 9ebc1e1d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年12月22日 17時