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【長編】浪漫学園探偵団!七不思議の秘密 伍 ページ16

とはいえ、そこまでは“大人側”の私とて折り込み済みだ。
有事の際にはやはり頼ることになるだろう、ちらりと立花先生の方を見遣れば
ものも言わずに私の視線の意味を察し取り、軽く首肯して見せてくれた。
実に頼もしい返事だ――ちょっとしたパニック程度なら治めてくれそうな説得力を持っている。

私は軽く手を叩いて面々の注意を惹いた。
明るいざわめきが途端に治まって、薄暗い廊下に気味の悪い静寂の帳が降りる。

「確かに、個性豊かな良い“探偵団”になったらしいな。
――学校を借りられる時間にも限りがある、そろそろ行こうか。
なお、先生達は一番後ろを歩かせてもらう」

ずるい、という想定内の文句が出る。声からして華園だろう。
それには「万が一のことがあった時、後ろから前を見ていたほうが分かりやすいんだ」と答えておく。
まあそれ以外の理由もあるが、これはこれで嘘でもない。

「さあ、前を歩きたいのは?」

挑発するように言ってやれば、たちまち日月旭の手が上がる。
それは想像できた範囲内ではあるが、華園の手も上がったのはやや意外だった。
下級生一人に女性一人というメンバー構成に思うことがあったのか、
一拍置いて一之瀬の手も震えながら上がってくる。
なるほどと頷いて、ご希望通りの隊順にすることにした。

「いやあ、都合のええメンバーですやんなあ」
「しッ。……篠宮先生は春野の近くに居てやってください」

にこにこと機嫌の良い口調で口走る篠宮先生に人差し指を立てながら、
我々は宣言通り後方に陣取る。
“ツアー”の道順はすでに面々に伝えてある。

「問題なく、進むと良いですね。藤原先生」
「ええ。まったくです」

隊形が完成するのを待ってから、「しゅっぱーつ!」と音頭を取る日月旭を数メートル後方で眺める。
立花先生の言葉は正しい。我々にのみ通じる意味がある、ということも併せて。

“問題なく”“問題がありつつ”進むことへの祈りとともに、
浪漫学園探偵団の七不思議調査ツアーが始まった。

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小春(プロフ) - 珈琲さん» 企画主様!閲覧ありがとうございます。(派生作品のご連絡遅れてしまってすみません……!) (2022年8月20日 18時) (レス) id: fb7c2aa482 (このIDを非表示/違反報告)
珈琲(プロフ) - 描写が素晴らしすぎる…!「その赤は激情か」お気に入りです。 (2022年8月20日 17時) (レス) @page2 id: 3ddce89f00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小春 | 作成日時:2022年8月11日 21時

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