【Kiramune】たった1人のシンデレラ �掘敍�野自由】

101 Side : M.I ページ8

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「はー・・・」


先程までAが腰掛けていたソファに座り、天井を仰ぎながら溜息をひとつ。


やりすぎた。
あれは完全に怯えた目だった。


軽い気持ちで行為に臨んで欲しくないと思う。
大人としてもそうだがそれ以前に恋人として、Aの記憶に残る初夜を、恐怖や痛みなどの感情だけで埋め尽くすなんてことはしたくないのだ。


風呂上がりにAの携帯の画面を後ろから覗き込んだ時に見えた、“痛い”の文字。
あの流れで“痛い”なんて、Aの検索したことは一つしかないだろう。

怯えさせてしまった。

『泣いてもやめてあげない』なんて言ったが、あれはさっきみたいに感じて泣いたときのことで。
もちろん痛みで泣いているAを放ってそのまま行為を続けるほど残酷なことはしないし、それならすぐさまそこで中断するつもりだ。


俺自身、優しくしてやることは出来るし、それに関しては心配はしていない。

問題なのはAの覚悟。


怯えさせてしまったにしても、それで軽い気持ちでなくなったのなら悪いことではない。

言ってしまったものはもうしょうがないし、そこからAがどう向き合うかが重要とも言える。


「・・・よし、」


うだうだしてても仕方ない。
俺はリードしなければならない訳だし。


気持ちの切り替えて夕食の皿洗いをすることにして、ソファから立ち上がった。


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