【Kiramune】たった1人のシンデレラ �掘敍�野自由】

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「・・・っはは、こんなんで最後までできんの？」

「さ、いご・・・」


その言葉を聞いて黙り込んだ私を見て、入野さんはまた私の首元に顔を埋めた。


「・・・まあきっと本番は」


そしてそのままもう一度、首筋に口付けをする。
今度は、強く。
痕を付けられたみたいだ。

唇を離してその痕を確認するように指で撫でながら囁く。


「・・・泣いても、やめてあげないけど」


期待のなかに、ちょっとした不安。

入野さんには経験があっても、私には無くて。
怖いなんて、今まで考えたことなかった。


「ごめん、怯えさせる気はないんだけど」

「わ、わかってます」


心配してくれているってことくらい。


入野さんも入野さんなりに、私に気を使ってくれているのだろう。

確かに、さっきのように舞い上がった気持ちのまま“本番”を迎えていたら、色んな意味で後悔していたかもしれない。


「あ、お風呂沸いたよ。先入る？」

「・・・ちょっと頭を冷やしたいので後でいいです」

「そんなに重く考えなくていいのに(笑)」


入野さんはいつものように、「インターホンが鳴っても絶対開けないこと！」と言って洗面所へ向かった。


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