【Kiramune】たった1人のシンデレラ�供敍�野自由】

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「久しぶり」

「あ、うん・・・久しぶり」


早く。早く駅に着いて。
路線図を横目で確認。あと三駅・・・。
夜も遅いし、乗っている電車が各駅停車なためか、車内には乗客があまり見られない。

ため息を飲み込んで、目を逸らした。


別に、彼が悪い人だということはない。
別れたのだって自然消滅だ。

でもなんだか気まずくて。


「今度、二人で遊びに行かない？」

「え、？」

「俺たち、まだ付き合ってるよね？」


嘘でしょ？
いや、確かに『別れよう』とかの言葉は交わしていないけれど！

自然消滅してから何年経ったと思ってるの・・・？
まさか、あれから誰とも付き合わず私とまだ付き合っていると信じて・・・？


「ま、待って、私はもう別れたつもりで」

「別れよう、なんて言った？」

「言ってないけど・・・、自然消滅、したつもりだったん、だけど・・・」

「俺はそんなつもりないよ」


そう来たか。どうしよう。
まるでこちらが悪いようだ。

いやこっちが悪いのかな？きちんと別れようって言わなかったせい？
いやいや、連絡寄越さなくなったのはそっちでしょうに！


「それは困るの、そもそも連絡をくれなくなったのは洋介の方だし、私今お付き合いしている人もいるし・・・」

「じゃあ今からまた始めよう？二番目でもいいから」

「良くない！ちょっとしつこいよ・・・！」


話しているうちに他の乗客が降り、この車両には二人きり。

これはまずいパターンだ。
他の車両へ移動しようと洋介に背を向けると、腕を掴まれた。


「お願い、離して。私は洋介とよりを戻すつもりはない」


どうしたら諦めてくれる？
そう尋ねた瞬間、間もなく私の最寄り駅に到着するアナウンスが車内に流れた。


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