○○しないと出られない部屋っていうのがあるらしいんですが。【宮侑・宮治】【稲荷崎】 (ページ13)

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隣の席…私は、

｢隣Aや〜！｣

角名くんが良かった。

｢よろしゅうなぁ｣

角名くんが！良かった！！

『よろしくね、…侑』

この授業は隣同士の席をくっつけるらしく
いつもより隣の人との距離が近い。

桃江と角名くん隣同士か…羨ましい…。

どっちでもいいからどっちか代わってくれ

けどまぁ、席が一番後ろの廊下側っていうベストポジションなので良しとしよう。

それに、

｢もうずっとこの授業でええわ｣

なんて屈託のない笑顔を私に向ける侑を見てると
彼のファンからの視線にも耐えられそうだし
隣の席も新鮮だし良いな、なんて思った。

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｢なぁなぁ、A｣

『ん？』

授業中、ふと小声で侑に声をかけられ
睡魔と闘いながらぼーっと眺めていた黒板から目線を彼へと移した。

｢見て。これ角名｣

『ぶふっ』

｢で、こっちが銀｣

『…ぐふっ……やめて、ふふふっ』

侑、真剣に何かやってるなと思っていたけど
机に歪な狐のような絵を描いていたらしい。

｢これサム｣

『ほんっ…やめ、……も、無理…ふふふっ』

微妙に似ているし、角名くんの狐なんて
めちゃめちゃ特徴掴んでいてちょっと可愛いし
地味に上手いしじわじわ笑いが込み上げてくる。

これ、しばらく思い出し笑いしそうなんだけど。
見事に傷痕残してくれたな宮侑

結局ずっと侑が面白い話とか変な落書きとか見せてくるから
私の腹筋は崩壊寸前で、睡魔なんてどっかに消え去った

そして授業終了のチャイムが鳴るとすぐに侑に腕を引かれ
されるがまま慌てて席を立ち、小走りで必死に彼の後を着いて教室を出た。

『侑、どうしたのどこいくの』

｢んー？もぉちょい一緒おってや｣

私の腕を引きながら前を歩く侑は
ニコニコしながら振り向きまた前に向き直した

着いた先は別階の空き教室

ここは窓もドアも締めっきりで滅多に人が来ない。

後ろの壁にくっつくように並べられた机が数台と
それと数の合わない椅子がいくつかある。

｢サボる時よう来んねん｣

侑はその机に寄りかかり私を引き寄せるから
よろけそうになった。危な。

『…近くない？』

｢もっとくっつこーや｣

『なん、…わっ』

｢あー、やっとぎゅーできた｣

『苦し、あつむ、』

だからほんと力強すぎなんだってば。