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『……睦美』
睦美「……魅奈、ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさい…」
睦美は、先程の雰囲気とはうって変わり、ずっと謝り続けていた。
『……なんで、こんなこと』
睦美「…マスターは、魅奈を言の葉党ではなく、自分の元に一生起きたかったって、誰かと話してた。
だから、魅奈を完全に洗脳するために、準備が必要だって。
だから、完成状態になった魅奈について、嘘の報告書を言の葉党に送りつつ、着々と魅奈の洗脳を続けてた」
乱数「…Aの洗脳?」
睦美「……ボク等は、今日この日、魅奈の血液と融合される予定だった。そしたらもう、完全な最高傑作になるって…」
睦美はそう言うと、地面に座り込んでしまった。
睦美「……ボクはただ、マスターに見て欲しかっただけなのに…!!…ボクは、マスターにとって捨て駒だった!!……そんな奴に、騙されてた自分がすごく嫌いだ!!」
七魅「……睦美」
七魅は、動かない体を無理に動かそうとしていた。
『…!!…七魅ッ』
七魅「…睦美だけじゃない、七魅も、マスターを信じてた。あの状況で信じられる方が可笑しいのかもしれない。でも、信じるしかなかったんだよ。
それが生きるってことだから」
そう言われた睦美は、涙を流して俯いた。
七魅「……ねぇ、魅奈」
『…何?』
七魅「……七魅達は、もう数時間も生きられない」
『…ッ!!…そんな、まだ何か方法が!!』
七魅「…だめ、なんだ、方法はきかない」
『いや、そんな嫌だよ!』
私は首を振った。
やっと本当の家族に、姉妹になれると思ったのに…
こんなお別れは嫌だと首を振る。
七魅「……A」
『…ッ!!』
七魅「………いい名前貰ったね、その名前、大切にして。……私達の分まで、生きて、お姉ちゃん」
睦美「……ねぇちゃん」
『…睦美』
睦美「……ボクを忘れない?」
『……うん、絶対に忘れない』
睦美は嬉しそうに、小さく笑った。
睦美「そっか…なら、ボクに悔いは無いよ!」
『…そんな』
睦美「大丈夫!…ねぇちゃんには、大切な弟がいるでしょ?」
睦美は、乱数を見る。
乱数は私を心配そうに見つめていた。
『…ッ、……クッ…フゥ、ウッ…ウゥ……』
私は、泣きそうな涙を必死で抑えた。
七魅「……お姉ちゃん」
睦美「……ねぇちゃん」
私は顔を上にあげた。
何とか涙を零さないように。
それから真っ直ぐ向き直り、七魅と睦美に笑顔で言った。
『…ありがとう!』
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さくら海(プロフ) - みんさん» ありがとうございます!!!頑張ります!!! (2020年5月31日 11時) (レス) id: eba3e9a097 (このIDを非表示/違反報告)
みん - んぁぁぁぁぁぁぁぁめっちゃいい話!!感動しちゃいますぅ……更新楽しみにしてます!!!頑張ってください(*´∀`*) (2020年5月16日 2時) (レス) id: a7a20ec0a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら海 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuraitkn1/
作成日時:2020年3月2日 12時