明朝、朝陽が射す方へ (ページ6)

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川島｢海人ー、終わったよ｣
一方その頃、朝から部屋を出てこなかった中村に川島が声を掛けに行くと、中村はどうやら2度寝中のようだった。
すぅすぅ、と規則正しい寝息が聞こえている。

川島｢…もうお昼なんだけど｣
呼びかけてみても、彼が起きる気配は全くと言ってない。
少しはだけている着物を直してやり、優しく揺り起こす。
くぐもった声が聞こえ、何かを確かめるように手探りで川島の腕をぺちぺちと触りだした。

中村｢…のえるくん…？｣
川島｢おはよう海人｣
中村｢もうちょっと…｣
川島｢駄目ー。本当、寝起きの悪さはずっと治んないね｣
中村｢……のえるくんの優しい起こし方もね…ふわぁ…｣
川島｢あ、だめだめ。ほらおっきして｣

少し解けた包帯の間から、薄緑のキラキラとした瞳が垣間見えた。
川島は慣れた手つきで彼の目を覆う包帯を結び直す。
中村｢…ねえ如恵留くん｣
川島｢なぁに？｣
中村｢もう金髪にはしないの？｣

今の川島の髪は綺麗な焦げ茶色だ。
見えてないはずなのにスラリと伸びた手が髪にとかれる。
川島｢しないよ。したらみんなびっくりしちゃうよ｣
中村｢俺、如恵留くんの金髪好きだったんだけどな｣
何だか何とも言えない気持ちになってしまって、言葉を手探りで探る。

川島｢…ありがとね｣
中村｢……そんな事言わないでよ｣
そんな事言わせたかったんじゃないよ、なんて呟く。
きっと内々で思っている事を、いつものように聞いてしまったのだろう。

川島｢違うよ、海人は悪くないってば｣
中村｢…如恵留くんは、ずっとそう言うよね｣
川島｢当たり前じゃんか｣
中村｢……ごめんね｣
川島｢もう、海人…｣
呆れたような声が聞こえてくる。
実際に聞こえてしまう心中の本音も、あの時と変わらなくて安心するような、それでもやはり負い目を感じてしまう。

中村(…いっそ赦さないままでいてよ)
なんて、そんな事、
中村(…宮近みたい)
もし言ってしまったら、川島はきっと寂しげな顔をしてしまうのだろう。
唯一隠し事の出来る自分なのだから、そんな思いは胸にしまって、川島に案内されながら彼は昼食を食べに行くのだった。