明朝、朝陽が射す方へ (ページ1)

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序章ページ1

「ただいまぁ」
「おかえりなさーい！！」
人里から少し離れたところにあるその小さな神社に入ったのは1人の青年。
背負った籠の中に沢山入った薬草やら薬やらを見る限り、どうやらこの青年は薬師のようだ。

「あぁもう、駄目だね。ちょっと出かけただけで疲れちゃう。歳かな」
「のえる、顔はギリ20代後半って言ってもいけそうなのにねー」
「体はしっかりおじいちゃんなんだね」
「やーいのえるのおじいちゃーん」
「失礼な、まだギリギリ30後半だよ！」
その青年に駆け寄りいじる2人の少年の耳には、狐の耳と尻尾が生えている。
明らかにこの世のものではない風貌の2人にも、その薬師の青年は特に気にする様子もなく立派に立つ大樹に腰掛ける。

「如恵留おかえり」
「ただいま閑也」
ふわり、と降り立った閑也と呼ばれた青年もどこか人間とは違う雰囲気を纏わせている。
「そういえば白雪神社さんからお便り来てたよ」
「あぁ～いつもの問診？」
「当たり。日程はそちらに任せるからそろそろお願いします、だって」

「お稲荷さん食べに行くの！？」
「松倉～、あくまでお稲荷さん目当てで行くんじゃないんだからね」
「でもだって白雪神社のお稲荷さん美味しいんだもん！」
じゃれるように薬師の周りで甘える子狐2匹の頭を撫でていると、とてとてという足音が似合いそうな小鬼の姿が見えた。