125.朱雀奏 ページ25
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1時間目が終了すると、間も無くして奏がやってきた。
『奏さん?久遠さんたちは?』
奏「次が体育だから、ついでに花壇を見に行くと言ってたよ。」
((あー、あの人達のことだから、何か手がかりでも探しに行ったんだろうなぁ。))
苦笑しつつ俯くと、奏が怪訝な顔をした。
奏「ところで、何でバスローブを着ているの?」
『あっ、今日ジャージ忘れちゃって……
もうすぐ制服は乾くけど、体育終わるまではここにいようかな。
奏さんこそ、着替えなくて良いの?』
奏「僕も、体育が終わるまでここにいるよ。
一緒にサボりましょう!」
『そ、そんな嬉しそうにサボるって言ったら、久遠さんに怒られるよ………』
また、苦笑を浮かべるが、なんとなく追い返すことも出来ずに、他愛もない話をしていた。
2時間目ももうすぐ終わる頃、制服の乾燥が終了した。
着替えて奏のもとへ戻ると、奏がとても優しく微笑んでAの手を取った。
『奏さん?』
奏「Aさん、やっぱり僕はあなたが好きです。僕のプリンセスになってくれませんか?」
『っ!!』
逆光に照らされたその笑顔は、とても眩しく、哀しいほどに綺麗だった。
そして、そんな奏が跪き、手の甲にキスをした。
((………っ、どうしよう、腰抜けそう。))
奏「Aさん………」
奏がもう1度口を開きかけた時、英語準備室のドアが開いた。
元「奏さま、体育が終わりましたので、教室へ戻りましょう。」
久遠「服、乾いたのか。じゃあ、一緒に戻るぞ。」
奏「そうだね、Aさんも一緒に戻りましょう。」
『………はい。』
何とか、返事を絞り出し、みんなと教室へ戻る。
だが、その途中、異変に気付いた元が怪訝な顔で口を開いた。
元「あの………なにかありました?」
『えっ!?
べ、別に何も………』
奏「うん、僕がAさんにプロポーズしたんだ。」
久遠「プ、プロポーズだと!?」
『えええっ、あれプロポーズなの!?』
元「なんであなたまで一緒に驚くんです!!」
『だ、だって、そんな……』
奏「正真正銘、本気のプロポーズだよ。」
『………っ』
その真っ直ぐな瞳に、その場にいた3人はただただ目を見開いて固まっていた。
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うみか(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます!これからもネクストには活躍していただくので、よろしくお願いします。 (2021年7月29日 21時) (レス) id: 81b182e416 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 更新ありがとうございます!いっちゃん好きなのでなんなほっこりします (2021年7月29日 1時) (レス) id: 333f181d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うみか | 作成日時:2021年7月27日 0時