君の笑顔が見られたら (ページ7)

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54話ページ7

千冬side

「あの子、特攻服着ていないね」
「マイキーのダチだとよ」
「佐野くん本当にお友達多いな～」

三ツ谷君が連れてきた男は、マイキー君の友達みたいで後ろにはそいつの彼女もいた。

「オイ！エマ！！」

あれ、エマちゃんもいたのか…
少し離れたところからトコトコ歩いてきて、そしてなにやら揉め事が始まった

「エマちゃんだ！」
「なんかあの女すげー怒ってるな」
「あいつなにしたんだ？」

マイキー君のダチだという奴はなぜか彼女にボコボコにされていた。女って怖ぇ…

「真壁もマイキー君殴ることある？」
「え、普通に殴らないよ…」
「だよな」

俺も真壁が人を殴っているところは見たくない
怒っているところもあんまり想像できない…あ、でも

『笑えないよ』

いつの日か、自分のために怒ってくれていたことを思い出し顔が熱くなる

熱くなる顔を冷まそうと必死に手で仰いでいると、暑いよねー私もトレーナーだからすごく暑い～と横の真壁は顔を歪める

真壁の首筋に汗が伝っており、胸の方へ垂れていって妙にドキッとする

変な気持ちになりそうになったとき、ドラケン君の集まれ！の声でハッと我に返る

「じゃあ真壁。あそこの木の後ろに隠れとけ」
「はい！」

場地さんの言葉に真壁はフードが脱げないように横側を掴み、指定された木に足を向けようとしたら、周りの奴らも動き出していたためぶつかって体がよろける

「わっ」

「やべっ！」

転びかける真壁の元へ急いで駆け寄ると、俺よりも先に駆け寄って真壁を抱き寄せた人物がいた

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「危ないよ、A」
「………佐野くん」

……マイキー君、気づいてたのかよ

「......佐野くん、私のこと気づいてたの？」
「うん、匂いで」
「匂い？！！」
「うそ」

真壁を揶揄ってケラケラ笑うマイキー君。

周りは全身真っ暗コーデで顔が見えない小柄の人間と総長が仲良さげに話しているのを不思議そうに見てる

「あ、あのマイキー君すみません。俺が真壁連れてきてしまって…」
「松野くんは悪くないよ！私が無理言って付いてきてしまっただけだから」

マイキー君に近寄り謝るとマイキー君が口を開く前に真壁が言葉を重ねてくる

「なんか急ぎの用でもあった？」
「え、えっと...「マイキーの特服姿を見たかったんだとよ」
「場地さん？？？！」

風でフワッと浮いたフードからチラリと見えた真壁の顔は真っ赤になっていた

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