君の笑顔が見られたら (ページ6)

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53話ページ6

千冬side

「それって寂しくねーの？」
「ん～…去年からこんな感じだからな。それに日本に戻ってきたときは2ヶ月くらいはずっと日本にいるし」
「ふーん」

本当に平気そうに見えるから不思議だ

「平日は学校あるし、学校楽しいし。日曜日は佐野くんと会えるし、寂しくないよ。あ、松野くんもいるしね！」

えへへとフードを頭に被りながら俺を見て照れ笑いする

俺はいつかこいつに殺されると思う
まじ心臓いくつあっても足んねーよ

赤面した顔を見られたくなくて、真壁のフードを掴んで深く被らせる

「わわっ」
「ふっ…」

間抜けな声に笑ってしまう

「松野くんってちょっと変わってるよね」
「お前に言われたくねーよ」

………………………

電車を乗り継いで、武蔵神社まであと少しの距離をふたりで歩く

「佐野くんにバレたら怒られるかな、」
「そんときゃ、俺も場地さんも連帯責任だ」
「3人で怒られるなら分散するからマシかな」
「お前ひとりだけ怒られてくれ」
「ひどいっ」

武蔵神社の鳥居が見えて来ると真壁はより深くフードを被り、俺の背中に隠れるように後ろに立つ。俺は、場地さんが待っているであろういつもの場所へ向かう。

「おー千冬ぅ、やっと来たか」
「場地さん！」

俺は真壁を引き連れて場地さんの元へ駆け寄る。

「ふはっ！真っ黒だな、これだったらバレねーかもな。今のところ全然気づいてねーぞ」

全身真っ黒の真壁を見て吹き出す場地さん。そして少しだけ離れたところにマイキー君もいた。ドラケン君と話しているようで、俺たちのことなんか見向きもしない

それをいいことに真壁はマイキー君をガン見していた
見過ぎだろってくらい無遠慮に見つめている

「……かっこいい」

フードで顔を隠しているが頬が赤く染まっているのが見えた
恍惚したような目でマイキー君を見ている真壁を見て、少し胸に靄がかかる

こんなにも真壁に好かれているマイキー君が羨ましい

「真壁、集会始まったら端っこに隠れてろよ」
「わかってるよ。ありがとう松野くん」

小声で耳打ちすると、手でOKのサインをしながら返事する

「意外と黒い服だからか、周りの奴らも全然気にしていないな」
「ですね、真壁の作戦勝ちっすね」
「真っ黒大作戦だね、」
「作戦名あったのかよ」

全然バレていないことをいいことに3人で普通に会話してたら、三ツ谷君が学生服を着た俺と同い年くらいの男を連れてマイキー君の名前を呼んだ