89話 ページ42
千冬side
『すっごく仲の良い大好きなお友達だから』
止められなかった
真壁を好きという気持ちが溢れて抱えきれなくなって、思いのまま抱きついた
マイキー君を裏切る行為だと分かっていながらも止められなかった
でもこれは真壁が悪い。大好きなんて言葉、言っちゃダメだ…
二度目の抱擁を嫌がることなく、優しく受け入れてくれた真壁の暖かさをまだ体に残して家を出た
『……がんばれ、松野くん』
『あんまり無茶しないでね、』
俺は、ポカポカとあったかくなった胸を押さえて
明日から自分が何をするべきかを考え始めた
とりあえず1人で動くには限界がある…誰か協力してくれそうな奴いねーかな
あ、そうだ… 芭流覇羅のアジトに俺と同じで連れてこられていたマイキー君の友達の、たしか名前はタケミっち。あいつ、8・3抗争でもドラケン君助けてくれたし、力貸してくれるかも
俺は同じ壱番隊の奴らにタケミっちの情報を聞き出し、翌日あいつの家の近くの公園で待つことにした
学校休んじまった。真壁…心配してるよな。でも、俺はお前のおかげでまっすぐ前だけを見ることができた
だから、頑張るんだ
そう決意して、しばらく公園のブランコに座って待っていると、目当ての奴が歩いてきた
「おい!こっち来い!」
この時、この見るからに弱そうで頼りなさそうな男に、自分の人生を180度変えられるなんて思ってもいなかった
…………………
タケミっちと協力関係になってから、稀咲のことを調べ始めた。元愛美愛主の総長の長内君の所に話を聞いて想像以上にやばい人間ということが分かった
こんな危険な人物が東卍に入って来たんだ。場地さんはこいつを追い出すために、いまも必死に1人で戦っている
ここまで分かったなら、もう場地さんが芭流覇羅にいる必要はない。2人でマイキー君に事情を話して稀咲を追い出せばいいだけだ
東卍vs 芭流覇羅の決戦前日、俺は場地さんを呼び出した
「急に呼び出してすみません」
「場地君!?」
何も言わず連れてきたタケミっちが少し驚いている
「千冬ぅー殴られ足んねーの?」
場地さん、俺はあなたのためならどんな痛みだって耐えられるんだ
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年6月17日 0時