君の笑顔が見られたら (ページ29)

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76話ページ29

千冬side

「この写真いいよね。私好き」
「…俺も」

場地さんがマイキー君に送った写真を見る。
たこ焼きを口いっぱいに頬張っている真壁を真ん中に俺と場地さんで挟んだスリーショットだ

大好きなふたりが満面の笑みで写ってて、尚且つそこに自分もいる
待ち受けにしようかな、

チラッと真壁を見たら、俺の方を見ていて少しびびった

「松野くん、今日楽しかった？」
「おう」
「私もっ！…あ、ホテル見えてきたみたいだね、あれじゃない？」

ふわっと柔らかく笑ったあと、窓の方へと視線を移して俺たちが泊まるであろうホテルを指さす

明日も楽しみだな

………………

修学旅行二日目は、京都で自由行動
私たちの班は、金閣寺や清水寺、と京都を代表する観光名所を巡っていく

私は、清水寺が楽しみだった
今は9月だから紅葉での景色が見れないのは残念だが、私の一番の目的は清水寺の中にある地主神社である。縁結びのパワースポットとして有名で、これからも佐野くんと一緒にいたい私はお守りを買いたかった

「真壁、買えたか？」
「うん、ありがとう。結構混んでた」

無事に目当てのお守りを買って、少し離れたところで待っててくれた松野くんに待たせてごめんねと謝る。他の班の人たちは、お土産を見に行ったらしい

「私もお土産たくさん買わなきゃ。お父さんとお母さん、お兄ちゃんとおばあちゃん。佐野くんに、ルナちゃんとマナちゃんにも！」

「結構買うな…三ツ谷君とこの妹とまだ会ったりしてんのか？」
「よくね、電話がかかってくるよ」

そう。あの花火をした日から、ふたりにすごく懐かれて佐野くん伝いに三ツ谷さんとも連絡先を交換して週に3回ほどふたりから電話が来る。結構それが私の中で癒しになっている

「今は親、日本にいんの？」
「そうだね。来月の半ばにはまた海外行くよ」
「次はどこ行くの？」
「ドイツって言ってた」
「すげー！」

そんな他愛のない話をしてお土産屋さんへと向かってると

「そこの学生さんたち。ちょっと寄っていかない？」

歩いていた道の左側に、ポツンと机を置いて座っている20代前半くらいの女性に声を掛けられた。机の上には占いと書かれた木彫りの置き物が置かれていた

「修学旅行中？せっかくだから記念に占ってみない？学生さんだから、特別にお代はいらないよ」

女性の言葉に、松野くんと顔を見合わせる
少し興味があった私は、あまり乗り気じゃない松野くんの手を引いて目の前の椅子に座った