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73話 ページ26

千冬side



席替え、したくねーな

もしまた隣でも宿題見せてあげないってプンスカ怒っている真壁。いや、さすがに4回目はねーよ。3回連続だって本来はあり得ないことなのだから








体育館でのいつもの長い話を終えて教室に戻り、担任が声をあげる



「よし、松野と中山。ジャンケンしろー」



毎回恒例のどっちからスタートするかジャンケン
勝敗に興味のない俺は、適当にグーを出したら勝った




「松野くんジャンケン強いね」
「ジャンケンに強いもないだろ、ただの運だぞ」

真壁にそう言い放ち、くじを引きに行く
席は………真壁が座っている席



なんか、デジャブを感じる








「松野くんどこだった?」


席へ戻ると、真壁がるんるんとなぜか上機嫌に聞いてくる
なんとなく教えたくなかった俺は、内緒と伝える


「内緒か〜、それもおもしろいね」

こいつはなんでも前向きに捉えるよな
そういうところも結構好きだけど


まもなくして真壁も席を立ち、教卓まで早足で向かってすぐさま戻ってくる

行動がいちいち小動物みてーだ、と真壁を見てたら俺と目が合い、にこっと笑ってきたので胸が高鳴った




「どこだった?」
「私も内緒っ」

と穏やかに笑う顔を見て、この距離でこの笑顔を見れるのは今日で最後かと思うと虚しい気持ちになった







「席移動しろー」

担任の声に一斉に動き出す

俺は、隣の奴が退かない限り動けないためとりあえずはステイだ。チラッと隣を見ると真壁も動こうとしていない。教科書や荷物類は机の上に置いており、あとは移動するだけの状態なのに微塵も動こうとしない。



「お前、移動しねーの?」
「松野くんこそ」


いや、俺はお前が座っている限り無理なんだよ
そろそろ今俺が座っている席が新しい席の奴が来ちまう







「…松野くん、早く退いてよー。私座れないじゃん」



は?

真壁はほんの少し頬を膨らませて俺をじっと見る




「いや、お前が退かないと俺も移動できないんだよ」
「え?」
「は?」


「もしかして、松野くんって席ここだったりする?」

自分が今座っている席を指差し聞いてくる




「そうだけど…もしかして真壁って、」
「松野くんが今、座っているところ」



俺らは、ふたり顔見合わせて笑った

まさかの4回目…





どんな偶然だよ、いやもうこれ偶然じゃねーよ
神さまのいたずらでもなんでもいい



どうせ真壁の彼氏にはなれないんだ
それなら、学校にいる間は俺が隣にいたい















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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年6月17日 0時

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