君の笑顔が見られたら (ページ22)

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69話ページ22

千冬side

「……えっと、」

すぐに否定できなかった俺は、言葉に詰まる

「あ、いや。千冬を責めてるわけじゃねーよ？つーか、気持ち分かるし」
「え？」

三ツ谷君は、あたたかい眼差しで言葉を続ける

「なんか、一緒にいるとゆったりとした時間が流れるよな。なんでも許してくれるような、そんな感じ。多分俺も千冬と同じくらい過ごす時間が多かったらやばかったかも」

ははっと空笑いして、少し寂しげに瞳を揺らして俺を見てくる

「…大変だな、」
「……そっすね」
「頑張れは言えないけど、話は聞いてやるから」

そう言って俺の頭をポンと撫でて真壁たちの元へ歩いていく

『なんでも許してくれるような、』

わかる、本当にそんな感じなんだ
あの空気に呑まれ続けたら、俺は取り返しのつかないことをしてしまいそうだ

大丈夫…真壁はマイキー君の彼女。
ちゃんと分かってる

別に友達以上の関係なんて望んでない

大丈夫だ、ともう一度胸の奥に語りかけ、消えた花火を持って真壁たちの元へ歩いていく

「あ、松野くん。これ面白そうだよ！」
「なんだよそれ、」

悪戯っ子のような無邪気な笑顔を見て、胸のモヤモヤが消えた

「お姉ちゃん！こっちもしよ～」
「うん。火つけるからちょっと離れててね」
「うん！…………わあ！きれい！！」
「ね～」

三ツ谷君の妹と一緒に花火を持っている真壁に、そういえばと話しかける

「マイキー君って呼んでないの？」

「え？…あ、呼ぶ？」

あれ？そんな感じ？
何をするにもマイキー君誘ってるのかと思ってたのに、当の真壁はきょとんとした表情で呼んだ方がいい？とあっけらかんとしている

「マイキー君、絶対誘ってると思ってた」
「ん～、明日お祭りで会えるしなーと思って」
「お祭り！？」
「そうお祭り～。ルナちゃんたちも来る？」

すごい自然に三ツ谷君の妹たちを誘っているが、それデートなんじゃないのか？

「いや流石に悪いよ。デートなんだろ？ふたりで行ってこいよ」
「ふたりでお祭りなんて、来年でも行けますし」

そう言い切った真壁は幸せそうに笑ってた。
真壁の中で来年もマイキー君と一緒にいるのはもう当たり前のことなんだ

その後、大量にある花火を消化しきれないと思った俺たちは急遽、場地さんやスマイリー君達を呼んでみんなでワイワイと騒いで花火を楽しんだ。マイキー君にみんなで撮った写真を送ったらびっくりするくらいの速さでバイクを走らせて来た。