狐、オメガです【呪術廻戦】

Ωの狐が27匹〜伏黒恵〜 ページ34

『…困ります』


淡々とした声で言うものの相手は引く気がない
しつこく声をかけてくる



「お前番いないんだろ。断る理由なんてないだろ」


あー…Ωを人として見ていないタイプの人間だ
だんだんとイライラとしてくる
俺の拒否権を尊重してくれ



『俺が、嫌なので、嫌です』


嫌味ったらしく言葉を切って言ってやると、相手は顔を真っ赤にして怒る
Ωに言い返されたのが余程悔しかったのだろう


「てめぇっ…！」


『！』



こいつっ…店の中だぞ！？
普通殴りかかってくるかよ！

咄嗟に反応出来ずに、ギュッと目を瞑り痛みに備える









『…？』


いつまで経っても来ることの無い痛みに疑問を抱き、恐る恐る目を開ける



伏「…」


「なんだてめぇ！」


相手の拳を掴む伏黒が目の前にはいた
表情は見えないが、何となく怒りは伝わってくる



『伏黒…？』


伏「あれほど1人になるなって言われただろ」



低い声
やっぱり怒っている
これは後で説教される…、そう思い少し項垂れる



「勝手に入ってきて何だよ！今こいつと話してんだろ！」


伏「うるせぇな」



伏黒は男の拳を掴んでいた手に力を入れる
少しだけ、嫌な音がした


『うわ…』



伏「次は折る」



男は顔を歪めてバタバタと店を出ていった
なるほど…これが不良伏黒か…

1人で関心していると、くるりと伏黒がこっちを向く



伏「バカか」


『い"っ…！？』



重いデコピンを喰らわされる
予想外の痛みに額を押さえる
俺の知ってるデコピンの威力じゃないっ…



伏「あんだけ1人になるなって言われてただろ、店の端なんて行くんじゃねぇよ」



『う"…面目ない…』



しゅん、と落ち込んでみると伏黒は短いため息をつき、俺の頭に手を乗せる



『…？』



伏「…焦った」


緩く抱きしめられ、小さな声で言われる
こんな弱気なのは珍しい


『そんなに慌ててくれた？嬉しいなぁ』


少しニマニマと笑いからかってみると耳元で「もう1発いくか？」と言われ、咄嗟に謝る




伏「悪いかよ、お前が殴られそうになって柄にもなく余裕無くなって」


『いーや？…助かったし、茶化しも冗談も抜きで嬉しかったよ』



やっと安心できたのか
体の力が少しだけ抜ける
すると、伏黒は俺の腕を掴む


伏「…隠そうとすんな」


『あーあ、…バレちゃった』



伏黒が掴んだ俺の腕はカタカタと震えていた
それを見て、伏黒は指を絡ませた

体温が伝わってくるその手を俺はゆっくりと握り返した

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