一言目 ページ2
「 」
今確かに普通に声を出した、だが耳に届くのはかすかな”音”だけで”声”は聞こえなかった。自分すら聞き取れなくなったというのならいよいよ末期なのだろう。
私は深いため息を付いた、息が排出される音だけが静かな部屋に虚しく聞こえた。
喉の病気だといわれている、声がいずれ出なくなる病気だと。
医者から治ることはなくただ進行していくだけだと告げられた時私は涙すら出なかった。驚きもしなかった、そして私の代わりに泣いてくれるような人もいなかった。
いないのだ、両親が。何年前かに私がこんな仕事をしてるがために命を落とした。私のせいだと私が悪いのだとわかっている。
そしてまた私は先程より大きなため息をついた。
「しししっ、なにため息ついてんの？」
いつの間にか開かれていたドアにはベルフェゴール様がもたれかかっていた。私は返事を返すことが出来ずただ首を横に振った。
「っち、はいかいいえで答えられねぇ質問なら声出すしかねえと思ったんだけど、結局喋んねぇし」
私の返し方が気に入らなかったようでベルフェゴール様は舌打ちをしていた、そういえば幹部が私に一体なんのようなのだろうか。そんなくだらない用の為だけにここまで来たわけじゃ無いだろうに。
「あと、スクアーロが呼んでたぜ。じゃあな」
スクアーロ様がと言うことは今日の仕事だ。
…仕事という単語で思い出した、ベルフェゴール様に渡さないといけない書類があったんだった。
「 」
待って下さい、という言葉は届かない。慌てて走って追いかけようとすると床に置いてあった本につまずいてしまった。
普段は大好きだと思える本もこんな時は憎たらしくてたまらない。ただ、転んだ音でベルフェゴール様が気付いて振り返ってくれたのでまあいいか。
「だっせ。あれ？それ俺のじゃん」
遠目で見ただけで何の書類か判別できたのかベルフェゴール様はそう言った。
前髪が邪魔そうだが意外とちゃんと見えてるんだなぁなんて本人に言ったらサボテンになってしまう。
「これ渡そうとして転けた訳？ししっ、だっせ」
2回も言うな、と思ったがたしかに私もダサいと思ってしまった。よりにもよって幹部に見られるとは恥ずかしい。そしてこの人だと絶対広めそうだ。
「ふーん、どうせ書類とかあんまり見ないけどな。だって王子だもん」
またそれか。王子を自称してて恥ずかしくないのだろうか、いや一応ベルフェゴール様は年下だし生暖かく見守ろう。
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部久(プロフ) - 続きが読みたいです。まだ更新やってますか？ (2017年9月4日 15時) (
レス) id: 0d4f3869ed (このIDを非表示/違反報告)
全力ウサギ - ありがとうございます（＾口＾）ノ (2016年2月7日 12時) (レス) id: 1a21b3973a (このIDを非表示/違反報告)
星桜(プロフ) - 全力ウサギさん» 返信遅れて申し訳ないです！出来る限りのことでしたら良いですよ〜 (2016年2月6日 10時) (レス) id: c21bb63eae (このIDを非表示/違反報告)
全力ウサギ - 「ボンゴレ式修学旅行」を見ったのですが良ければリクエストにやってもらえますか？ (2016年2月4日 19時) (レス) id: 1a21b3973a (このIDを非表示/違反報告)
星桜(プロフ) - 全力ウサギさん» はい！ありがとうございます！ (2016年2月1日 7時) (レス) id: cc8d47ffae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒桜 | 作成日時：2015年1月25日 8時
