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「A殿は優しいのであるな」




お酒を作りグラスの水滴をハンカチで拭くと隣から声がした。






紅郎さんが次は仲間も呼んでくるって言ったその週の土曜日にまたも来てくれた。




眼鏡をかけた真面目で少し棘のある性格の蓮巳さんと、時代劇に出てきそうな髪が長くて美形な神崎君。





どちらも個性が強くて驚くが、なにより紅郎さんと仲が良いというのには更に驚かされた。・・・どういう繋がりだろうか。



「大体、飲み屋というものは嫌いだ。何故金を出してまで女と飲まないといけないんだ。度し難い」


蓮巳さんは、どうも無理矢理連れてこられたみたいで申し訳ないと頭を下げれば「気にするな、いつものことだ」と紅郎さんが笑いかけてくれる。




最初こそ、そうだったがお酒が進むにつれて蓮巳さんも少し砕けてきた。うん、普通に話せるまではなったかな。




「A殿は可愛い顔をしておる」


別に普段言われなれてない言葉ではない。冗談や挨拶がてらに、軽く言われることはあってもゆるく話を流せば問題なかったが神崎君からじーっと、真顔で見つめられて言われたものだから恥ずかしくてしょうがない。






「あ、はは・・・っ、なんか照れるなぁ」




きっと赤くなったであろう顔を隠すために笑いながらも俯いてしまう。






「本当のことしか言わないからな、神崎は」


お酒を一口飲み、続けるのは蓮巳さん。

その後は冗談も言ったりして、




紅郎さんがどんな表情をしてるなんて知りもせずに。











「もうこんな時間か。明日が休みであれ、夜更かしも程ほどにしなければな」




蓮巳さんが言えば時計の針は1時を指していた。やはり、楽しかったら時間が経つのは早いものだ。


会計を済ませて「楽しかった」「また来る」などの挨拶を告げて外へと出ていく。

私も後に続いて外へとでる。




うぅ、やはり少し寒い。






「では、また来る・・・かもな」


にやりといたずらに笑う蓮巳さん。

なかなか、仲良くなれたものだ。





「また、A殿に会いに来ようぞ」



美しく優しい笑顔で手を振る神崎君。
・・・かわいい。








紅郎さんの方を見れば何やら納得のいかないような顔つきだった。そういえば今日あんまり話せてなかったな。




紅郎さんと目が合えば「っ・・・あー、」と何やら自分と格闘しているかのようであった。



「先に行ってるからな」と、蓮巳さんと神崎君は足を進めて彼と二人きり。

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あるびおん(プロフ) - Mashiro Lioさん» コメント頂き有難う御座います。とても褒めてくださって、感謝しかないです!適当な内容にしたくない為に更新は遅くなりがちですが、気長に見てくださると助かります。今後のストーリーの展開も、予想外になる可能性がありますがお付き合い下さいますと嬉しい限りです。 (2020年11月7日 18時) (レス) id: 8484e311ec (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 昨年度から拝読しております。本当に素敵なお話で、初めて見たとき、つい読み入ってしまいました。地の文の描写が全体的に綺麗で、ストーリーも続きが気になって、もっと伸びろ!と毎度思います。これからも、ご無理のないように更新頑張ってください。 (2020年10月26日 7時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あるびおん | 作成日時:2019年2月12日 7時

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