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仕事終わりにロッカールームで着替えをしていると、部屋のドアがガチャりと開いた。
｢神崎、この間言ってた本だ｣
嬢ちゃんから借りてきた、と受け取った本は想像以上に分厚くて胸が高鳴る。
｢鬼龍殿、感謝する！しかし、鬼龍殿はもう読まれたのであるか？｣
問えば今は読む気にならない、と椅子に座り溜息を零す。
…なんと、分かりやすい。
最近の鬼龍殿は分かりやすい。
｢…なにか、あったのであるか｣
不意に向けられた視線は一度交わるもすぐに逸らされて、ゆっくりと口が開かれた。
｢…嬢ちゃんが引っ越すんだと｣
｢なっ…｣
話を聞けば、まだ先のことらしい。それに、隣町のため会おうと思えば会える距離みたいだ。
｢飲み屋からの距離もできるから、店は辞めちまうらしい。…今までは店に行きゃ理由なんてなくても会えたんだがな｣
我からすれば、会いたいと告げれば良いと思うものの鬼龍殿にとってはそうは行かないと。
…我にはよくわからん。
｢まぁ、落ち込んでても仕方がねぇよな。悪い、神崎｣
無理して笑ってみせる姿を見れば、チクリと胸の辺りが痛くなった。
｢本、読み終わったら持ってきてくれ｣
そう言って立ち上がった鬼龍殿は、こちらに顔を向けることも無く静かに部屋を出ていった。
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部屋から出ると見知った顔が険しい表情をして眼鏡のブリッジを指で押えていた。
｢鬼龍、貴様…｣
｢立ち聞きか？…全く趣味が悪いな｣
｢俺が忠告をしておきながらも貴様が聞かなかったからだろう｣
｢…そーだよな｣
否定することもせず、自身を嘲笑う。
─────全くその通りだ。
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あるびおん(プロフ) - Mashiro Lioさん» コメント頂き有難う御座います。とても褒めてくださって、感謝しかないです！適当な内容にしたくない為に更新は遅くなりがちですが、気長に見てくださると助かります。今後のストーリーの展開も、予想外になる可能性がありますがお付き合い下さいますと嬉しい限りです。 (2020年11月7日 18時) (
レス) id: 8484e311ec (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 昨年度から拝読しております。本当に素敵なお話で、初めて見たとき、つい読み入ってしまいました。地の文の描写が全体的に綺麗で、ストーリーも続きが気になって、もっと伸びろ！と毎度思います。これからも、ご無理のないように更新頑張ってください。 (2020年10月26日 7時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるびおん | 作成日時：2019年2月12日 7時
