陸話 ページ6
「邪魔、か...どうして?」
太宰の表情は穏やかだが、怒りを含んでいるようにも見える。
そんな太宰を見てわざとらしい笑みを浮かべながら、ゆき子は続けた。
「簡単な話です。彼女が強いからですよ。強いものは卑怯な手を使ってでも排除する。当たり前じゃないですか?」
残酷なまでの微笑みに太宰は少し憎らしさを覚える。
だが、それでも芙美子を守るために質問を続けた。
「君の当たり前が私にはわからないなあ。それは彼女の才能ではないのかな?刀の才能、殺しの才能、強さの才能。それを君は奪うのか」
顔から笑を消し、眉を顰めゆき子に問う。
ゆき子はそんな太宰の姿を見て嘲笑しながら答えた。
「ええ、そうですね。才能には何も勝てませんから。だから消すんです」
「君は芙美子のことを大切に想っていたはずだ。なのに何故、こういう事をした?」
「...大切だからです、大切だから彼女が苦しい思いをする前に消すんです」
ゆき子は拳を握りしめ、太宰の目をしっかり見据える。
「本当は貴方に奪われる前にしたかったんですけどね」
「それは宣戦布告かな?」
「どうでしょう?」
太宰に妖艶な笑を返し、お話終わったと言わんばかりに席を立つ。
そして一瞬だけ太宰をみて云った。
「...世の中、どうにもならないことなんて沢山あるんですよ」
それだけ云い残し、彼女は去っていった。
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麻月☆(プロフ) - 暁美 萌さん» ありがとうございます!!励みになります(*˙˘˙*) (2017年12月20日 6時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - 面白い!!気に入りやした\(^∀^)/ (2017年12月19日 23時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)
作成日時:2017年2月9日 23時