拾捌話 ページ18
[そのままじゃ仕事も身に入らないだろう。こっちは任せてくれ給え!]
(....って、太宰は云ってたけど、大丈夫かしら)
二日分の荷物を大きなバッグに入れ、鏡花と共に我が家へと足を踏み入れる。
「ただいま帰りました」
「待ってたわよ、芙美子!!」
上機嫌に出迎えをしてくれた芙美子の母親、キクが芙美子の荷物を受け取り、奥へ促す。
「お母様、それくらい自分で....」
「いいのよ。さ、座って。鏡花、好きなお菓子とかある?」
「いえ、お構いなく.....」
遠慮がちに鏡花が答えると、キクは「遠慮しないでいいのよ」とグイグイ鏡花に迫った。
「お母様、鏡花が困ってます」
「あら、少し気分が上がりすぎていたわ。ごめんなさいね」
(今日1日、こんな感じなのだろうか....)
先行きが不安ではあるが、一番に不安は父親の安否である。
「お父様は....?」
「今は自室で休んでいるわ。原因はストレスだそうよ」
「そうでしたか.....」
麻太郎は仕事人なので、ストレスもあるだろう。
(でも、大きな病気じゃなくてよかった....)
安心し、肩の力が抜ける。
すると今度は、探偵社のことが心配になる。
忙しいな、と自嘲気味に芙美子は笑った。
「芙美子。あなた確かもう二十歳よね」
「はい、そうですけど....」
キクが突然話しかけるので、咄嗟に反応ができなかった芙美子。
そんな芙美子をよそに、キクが立ち上がった。
「あなたのために服を買っておいたの!」
.....
「これはいいですね」
赤い襟元の白いシャツ。胸元には黒い
赤い腰上丈のスカートは少し裾が広がっていて、白いレースなんかもついている。
上から膝裏まである黒いカーディガンを着て、黒いタイツを履いている。
清楚で大人しめの服装になった。
キクは綺麗になった娘の姿にご満悦だ。
芙美子も姿見の前でくるくると回って、気に入っている様子。
そばにいる鏡花も「可愛い」といって喜んでくれている。
と、そこで、携帯がなった。
「ごめん、鏡花。私、服を片付けるから、携帯見てくれない?」
「判った」
「ありがとう」
さっきまで着ていた服を母親と一緒に畳み、バッグにつめる。
そこで、鏡花が駆け寄り、焦った顔で芙美子に書面の内容を伝えた。
「姉さん....!!!探偵社が襲撃に.....」
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麻月☆(プロフ) - 暁美 萌さん» ありがとうございます!!励みになります(*˙˘˙*) (2017年12月20日 6時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - 面白い!!気に入りやした\(^∀^)/ (2017年12月19日 23時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)
作成日時:2017年2月9日 23時