約束【桃】 (ページ33)

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▶︎深澤Side

そしてあの事件が起こった。

あの一件以来、照とAと３人で過ごすことが多くなった。

その可愛らしい笑顔を見ていると、心の奥にしまった筈の感情がむくむくと湧き上がってくる。

実は俺もAが好きなんだよね〜

なんて軽く照に言えたらどんなに楽か。

だけど、俺は一度ちゃんと失恋した。

それは３人で一緒にいすぎて、Aがどちらかと付き合ってるんじゃないかって噂になった時。

「本当に付き合っちゃえばいーじゃん」

なんて万が一…いや億が一、俺を選んでくれる僅かな希望を掛けて提案した。

けどAの答えは『ひーくん(・・・・)が嫌じゃなければ』。

ひーくんか…。

その瞬間、俺の初恋は儚く散っていった。

俺はその場では冗談言って笑って過ごしたけど、家に帰ってから泣いた。

初めての失恋に食欲も無くなって夜ご飯を食べなかったら家族に心配されたっけ。

でも一晩泣きながら寝て、目が覚めた翌日には気持ちを切り替えた。

照がずっとAのこと好きなの知ってたし。

(仮)でも付き合うことになった二人を応援しよう。

それに、大切な親友の彼女奪うなんて悪趣味ねーし。

俺は今度こそAへの気持ちを心の奥底に完全に封印した。

だけどあいつらはなかなか先に進まなくて。

見ているこっちがもどかしいぐらいで。

俺が何度も照を焚き付けてようやく本当の恋人同士になった。

こうして初恋を拗らせたおかげで、現在(いま)の俺の出来上がりってわけ。

もうAに恋愛感情はないけど、なんとなく他に好きな人も出来ないし。

まぁしばらく俺はみんなのふっかでいるのさ。

どうだった？

これが俺の初恋の話。

…二人には絶対内緒ね？わら

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