約束【桃】 (ページ2)

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ピンポーン

いつも通りさっくんが迎えにくる朝。

母「大介くん、おはよう。
待っててね、今A呼んでくるから」

母「Aー？大介くん迎えにきたわよー！」

結局昨日は全然眠れず、しょぼしょぼの目でランドセルを背負って「いってきまーす」と玄関を出る。

「おはよー！」といつも通りの笑顔のさっくん。

それに対して「…おはよう」とちょっと素っ気なくなってしまった。

佐「あれ？どうしたの？元気ない？」

『…さっくん、引っ越しちゃうの？
昨日ママから聞いちゃった…』

佐「…そっか。
お父さんの仕事の都合で来月遠くに引っ越すみたい」

『………』

佐「僕もつらくてなかなかAちゃんに言い出せなかったんだ。…ごめん」

泣きそうなわたしをさらに泣きそうな目で見つめるさっくん。

そんな時「おっはよー」と場違いに明るい声でランドセルをバンっと叩かれる。

振り向くと二人の空気を察して困惑してるひーくん。

照「あれ？二人ともどうした？」

『さっくん、来月引っ越しちゃうんだって…』

照「…え？そうなの？」

こくんと頷くさっくん。

ひーくんは一瞬寂しそうな顔をした後、

照「だったらさ、来月までにたくさん思い出作んないとな！」

とその場を明るくするように言う。

不思議とその言葉がストンと胸に落ちてきた。

…そうだよね、せっかく一緒にいられる時間、ずっと悲しんでたら勿体ないよね。

『…そうだね！さっくん遠くに行っても寂しくならないようにたくさんたくさん思い出作ろう！』

照「よっしゃっ！そしたら佐久間の送別会も開こうぜ！」

佐「うん。二人ともありがとう！」

さっくんは今にも泣き出しそうな笑顔でそう言った。

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